製造業では、熟練者が大量の図面データを属人的に管理しており、設計や見積、品質不良対応などにおいてデータを有効活用することが課題となっている。企業ではこのような課題を解決するため、既存の図面データを有効活用し、業務効率向上に役立てたいというニーズが高まっている。
株式会社日立ソリューションズはそのようなニーズに応えるため、2019年7月より、2D図面を対象にした「類似図面検索AIソフトウェア」を企業の設計、営業、調達部門に提供してきた。一方、設計図面の形式が2D図面から3D形状モデルデータへと急速に移行している。従来、見積業務や品質管理業務において3D形状モデルデータを扱う場合は2Dデータに変換する手間が発生していた。
このほど、日立ソリューションズは、画像認識AI技術を活用して大量の図面から似ている順で図面を探すことができる「類似図面検索AIソフトウェア」の最新版を2月5日から販売開始する。
最新版では、日立ソリューションズが独自開発した面深度画像方式(※1)により、3D形状モデルデータを2D図面と同様に検索することができる。また、図面上の部品ごとの認識にセマンティックセグメンテーション(※2)を採用することで、複数の部品が重なり合ったり、メモ書きがあったりするような図面でも、部品の形状をより高精度な検索が可能になった。
同ソフトウェアを活用することで、例えば取引先から図面をもとに見積を依頼された営業部門では、類似図面から過去に生産した製品の費用を参考にすることで、見積もり精度と業務効率の向上を実現するという。見積を依頼した取引先でも、類似図面から見積の妥当性の判断が容易となる。
また、新製品を設計する際に類似図面を基にすることで設計効率を改善するほか、製品に不良部品が使われていた場合、同様の部品を使った製品を特定するために類似図面検索を利用できる。
今回、製品ラインアップも拡充し、3D形状モデルデータの検索や部品の認識精度を向上した新機能を利用でき、類似する図面全体および部品ごとの図面を検索できるProfessional(プロフェッショナル)版と、一部機能に限定した廉価なStandard(スタンダード)版を提供する。各製品の価格は以下の通り。
※1 面深度画像方式:3D形状モデルデータの点群データを利用し、それを画像データに変換することで2D図面と3D形状モデルデータを同一システムで検索可能とした独自技術。
※2 セマンティックセグメンテーション:深層学習を用いた画像認識の一種で、画像の縁を囲う境界線を認識し、物体を抽出する手法。
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