化学製品の製造現場では、その製品に問題がないかどうかを確認する「外観検査」の工程がある。製品を安全に流通させるためには、設計通りに作られているかだけではなく、異物混入や傷の有無なども厳しく確認される。
これらの検査については、製品ごとに形状や材質が異なるため、多くの工数がかかる。また検査には専門性が問われるため、熟練した担当者の目で確認を行なっている場合が多く、人が目視確認をする場合は、熟練者の確保と合わせてリソースとしての人件費が必要となる。ひとりあたりに作業負荷がかかりすぎた場合は、ヒューマンエラーも招くおそれがある。
株式会社ASTINAは、製造/作業現場の自動化を支援する「OKIKAE」パッケージを提供しており、これまでに「バラ積みの自動化」や「ケーブル挿入の自動化」「AIによる外観検査の自動化」など、AIやロボティクスの技術をベースとしたスマートファクトリー化を支援してきた。
このほどASTINAは、OKIKAEの「AI外観検査」において化学製品の検査自動化に対応するための独自AIのアップデートを行い、様々な化学製品の外観検査に対応できるAIの提供を開始した。
同サービスでは、さまざまな材質のワーク(作業対象となっている部品や製品)に対応しており、従来の画像処理検査(ルール定義型)の処理では難しいとされていたランダム模様を保有する材質に対しても検査が可能だ。
例えば、プラスチックの製品の凹みや傷、キズ・ヒケ・タダレ・コンタミなどの異常を検出できる。これらは凹凸のある製品や曲面でも検査が可能で、立体的な製品でも360度全方位をカバーできる装置の提案が可能だという。
また、表面が均一ではない(ランダム模様の)材質、例えばゴム製品に対しても、傷や流入物を検知できる。製品の仕様としての凹凸であったり、製造過程で使用される印字がある場合でも、それらと異常を区別して検知を行う。
そのほか、セラミックス素材では、コンタミ・欠け・色ムラなどの検出が可能だ。ワークの種類に応じて、カメラの変更や調整を行うことで、立体形状のものや光沢のあるワークでも傷の検出が行える。発泡樹脂やスポンジ素材においては、ワークそのものがランダム性を持ち合わせた材質だが、黒点やえぐれ・ちぎれと、ワーク固有の材質とを区別し検査を実行できる。
なお、AI外観検査システムを導入する際は、装置の導入もあわせて相談できるとのことだ。装置とあわせた導入をすることによって、単なる検品作業だけではなく、ライン上でのNG品の排出などの対応が可能になる。また、ロボティクスの導入により、製造ラインの自動化・省人化をサポートする。
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