近年、産業用カメラの性能向上やAIの実用化が進み、人件費の削減と生産効率の向上を主な目的として大手企業を中心に業務改革が進んでいる。特に製造業においては外観検査を人手からAIに置き換える動きが活発化している。
一方、検査対象の形状、素材、サイズ、欠陥などの特性は多種多様であり、既存の学習済みAIモデルを用いて、企業が求める認識精度基準を満たすことは困難である。そのため検査対象の特性に合わせた撮影環境を構築し、その環境下で撮影した画像を用いて学習した専用のAIモデルを導入することが有効と考えられる。
キヤノンITソリューションズ株式会社は、外観検査や非破壊検査に特化したAI検査プラットフォーム「Visual Insight Station」の提供を開始した。
同プラットフォームは、AIを用いてカメラで撮像した物体表面の微小な欠陥を検出する外観検査や、CT装置で撮像した物体内部の微小な欠陥を検出する非破壊検査を自動化することができるプラットフォームで、3つのソフトウェアコンポーネント「AI学習アプリケーション」「AI検査アプリケーション」「AI推論エンジン」で構成されている。
AI学習アプリケーションは、企業の認識対象物に特化したAIモデルを学習することができる。簡単な画面操作でAIモデルを学習し、性能を評価する。企業自身が追加学習を実施し、AIモデルを進化させる。
AI検査アプリケーションでは、企業の認識対象物に最適なAIモデルとパラメータを選定することができる。AI学習アプリケーションで生成したAIモデルをロードし、複数枚の画像に対して画面上で推論結果を解析する機能を提供する。
AI推論エンジンは、企業の検査システムのエンジンとして使用することができる。AI学習アプリケーションで生成したAIモデルをロードし、入力された画像に対してAI推論を実行する機能を提供する。GPUを最大限に活用した高速なAI推論を実現し、検査システムに要求されるタクトタイムの短縮に寄与する。
また、同プラットフォームは、カメラや照明などの撮像機器を組み合わせ、企業のAI検査システムのコアとして活用することで、企業の運用にマッチしたAI検査システムを柔軟に構築できるという。
さらに、システム導入後に企業自身がAIの追加学習やメンテナンス作業を行えるため、AIモデルを進化させることが可能となり、検査対象の追加や検査環境の変化にも対応できる。これらにより、AIの認識率が保たれ、製造業における検査精度向上と生産性向上の課題解決に貢献する。
なお、同プラットフォームのライセンス価格は300万円~となっている。
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