従来、超音波の産業利用は、半導体の精密洗浄や探傷検査など限定された用途に限られており、工業規模での利用には、超音波のパワーと洗浄効果に大きな課題があった。
日鉄エンジニアリング株式会社と、クリーンテックベンチャー企業であるAltum Technologies Oy(以下、アルタム)は、ライセンス契約を締結し、Deep tech(超音波照射)とIoT(リモート制御)とDX(照射制御最適化)技術を活用した、カーボンニュートラルに資する新たなサービス型事業である、プラント設備のスマート洗浄サービスHiPEA EcoFUL(以下、ハイパーエコフル)を開始することを発表した。
ハイパーエコフルは、超音波を使ってエネルギー、石油化学、製紙、食品、飲料会社などが保有するプラント設備の機器や配管の洗浄、汚れの付着予防などを可能とするサービスである。
企業が保有する設備を停止し縁切りした上で、洗浄水を循環運転させながら超音波を外側から照射することで、インラインでの設備洗浄が可能だ。また従来に比べ、洗浄作業の費用・期間を削減できるほか、従来の化学洗浄に比べて薬液が不要または削減(化学洗浄と併用の場合)できるため、地球環境に配慮した設備操業が可能となる。
さらに、企業の保有する設備が稼働している状態で、超音波を外側から照射し設備またはプロセス流体に効果を及ぼすことで設備が汚れない、もしくは汚れにくい状態をつくり出すことができる。従来に比べ洗浄作業のための設備停止頻度を低減し、設備稼働率の向上につながる。加えて、同サービスの導入により、スケールの付着に起因する熱損失が削減されるため、CO2排出量も削減する。
そして、現在開発中のスマート運用サービスは、企業の保有する設備が稼働している状態で、超音波を外側から照射しプロセス流体の状態変化(例えば粘度低減)を促すことで、従来に比べて生産性の向上が期待できるという。
今回、日鉄エンジニアリングとアルタムが保有する超音波関連技術を組み合わせることにより、工業規模で要求されるハイパワー超音波を実現するとともに、より大型・広域のプラント設備や機器・配管にも優れた洗浄効果を発揮し、汚れにくい状態をつくり出すことが可能となる。
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