プラントや工場にて使用されているベルトコンベアは、24時間365日の連続稼働が求められるため、故障による停止を防ぐことが非常に重要である。特に、総機長が数十kmに及ぶこともある大規模プラントのベルトコンベアは、点検の必要な部品点数が膨大な上、検査員の立ち入りが危険な箇所も多いことから、機器の状態を常時自動で監視して異常を知らせる予兆保全の仕組みが求められている。
昨今では様々なセンサやIoT通信機器の進歩により、人手に頼らないベルトコンベアの状態監視の活用が広まりつつある。しかし、それらの機器を適切に設置して監視システムを構築し、センサから集約したデータを用いて適切な予兆保全を行うには、機械や電気系統だけでなくITシステムや機械学習といった幅広い領域の専門知識が必要である。このような知識を持つ人材が組織内で不足しているのが現状であり、システム構築から運用面での障壁となっている。
サイバネットシステム株式会社(以下、サイバネット)は、工場やプラントで使用されているベルトコンベアの振動や温度などのデータを自動で取得し、設備状態の監視と予兆保全を行うことができるシステムのPoC(※1)パッケージ提供を開始する。
同システムは、下記の領域におけるソリューションをワンストップで提供する。
- ソリューション導入前のコンサルテーション
- IoTプラットフォーム上で、24時間365日、重要設備の状態データを無人で収集
- リアルタイムのデータ分析・レポート出力・警報発報。サイバネットのエンジニアによる機械学習アルゴリズムのカスタマイズ
企業の環境を実際に確認したうえで、必要な各種センサや通信機器をベンダーニュートラルの立場で提案する。取付容易かつ電源利便性の高いセンサおよび中継機器などを提案可能だという。すでにセンサや収集データがある場合は、それらを活用したシステムも構築可能だ。
センサや機器の設置後は、最短で当日からデータ収集と可視化がスタートする。PCや携帯機器を通じていつでも設備の状態のリアルタイム監視が可能になる。
システム上でオートエンコーダ(※2)を主としたデータ分析が実施される。正常運転時のデータを基準に状態監視を行い「普段とは違う」異常の兆候を検知する。データ分析のための適切なアルゴリズムは、ベルトコンベアにおける監視対象や物理量によって変わるため、サイバネットではシステム導入後の一定期間、収集したデータをエンジニアが分析し、現場に適したデータ分析のための改善アルゴリズムを提供する。

※1 PoC(Proof of Concept):新たな概念やアイデアが実現可能か、効果や技術的な観点から検証する行程。
※2 オートエンコーダ:ニューラルネットワークを利用した教師なし機械学習の手法の一つ。様々な拡張や応用例があるが、正常な情報を学習データとして異常な状態を検知するシステムとしても利用可能である。
※3 3軸加速度:測定対象物の単位時間あたりの速度の変化率(加速度)を、X/Y/Z方向の3軸方向で取得したデータ。3軸加速度データにより、対象物の立体的な動きを検出することが可能になり、より高度な振動状態の検出と予測を行うことができる。
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