慢性的な人手不足、消費者ニーズの多様化やそれに伴うプロダクト開発サイクルの短期化、COVID-19によるサプライチェーンの再構築の必要性など、日本の製造業を取り巻く環境は日々変化している。
こうした変化を読み取り迅速に対応するためには、企業内外のデータを活用したDXが経営・現場ともに急務となっている。特に、大手企業の製造業を中心に3Dマップなどで仮想的にデジタル複製する「デジタルツイン」はデータの視覚化による予測シミュレーションやコストメリットの観点から重要な経営戦略だが、技術者のスキルセットや老朽化による機器のリプレースなど、必要なデータの収集や可視化にいたるまでにも課題を解決する必要がある。
ウイングアーク1st株式会社は、ウイングアーク1stのBIダッシュボード「MotionBoard」とGoogle Cloudの「Manufacturing Data Engine」を連携した製造業向けソリューションの提供を開始した。
MotionBoardは、複数のデータソースを集約してリアルタイムに可視化することで、データに基づいた意思決定やアクションを実現するBIダッシュボードである。地図上での分析やIoT連携などデータ活用もノンプログラミングで実装できるほか、業種・業務の利用シーンに応じたサンプルダッシュボードも搭載されている。
Manufacturing Data Engineは、デジタルツインを構成する製造IoTデータ基盤として、生産現場で発生するデータを正規化し階層構造に割り付けて提供する。
今回の連携では、3Dモデリングやカメラ連携を得意とするMotionBoardがManufacturing Data Engineで提供されるデータを可視化する。
また、国内外250種類以上の産業用通信プロトコルでデータ収集を行うエッジソリューションもあわせて提供し、数項目の設定を行うだけで各種生産設備からのデータ収集がすぐに開始できる。これにより、クラウドを活用してスケーラブルなシステム構築が可能となり、小規模なシステムから導入から始められ、導入効果を確認しながら経済的なシステム投資が可能となる。
さらに、IoTデータだけでなく、ERPや生産管理システムなど企業レベルのシステムからもデータを収集し、様々なデータをGoogle Cloudの分析基盤に集約することができる。生産現場のデータと工場経営のKPIの関連付けを行い、MotionBoardによって視覚化することで、データをもとに迅速な現場アクションと経営判断の実施を支援する。現場ユーザのデータ活用を促進して、データの民主化を加速させることで製造業におけるDXの推進に貢献する。
同連携により、例えば、各工程でエネルギー計測を行い、生産指図ごとのエネルギー使用量を計測して製品ごとのカーボンフットプリントを算出することができるほか、工場データの一元管理および分析、AIによる品質検査と不適合要因の分析、工程の異常検知とOEE予測メンテナンス、工場データの統合によるマスカスタマイゼーションの実現に利用できるとしている。
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