東京大学と日立、バイオ・高分子ビッグデータ駆動による完全循環型バイオアダプティブ材料の開発ヘ

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科 酒井崇匡教授の研究室(以下、酒井研)と、株式会社日立製作所(以下、日立)は、日用品や医薬品など、人に触れる素材において、再資源化可能な完全循環型バイオアダプティブ材料の開発に、日立のマテリアルズ・インフォマティクス(以下、MI)向けAI技術を適用する協創を開始した。

これまで、バイオアダプティブ材料をはじめとする合成高分子は、従来のMI技術では分析に必要なバイオ・高分子のデータが揃っておらず、材料開発の手法が確立されていなかったのだという。

そこで今回の協創では、酒井研が有するバイオアダプティブ材料に関するノウハウと実験データに、日立が有するMI向け独自AI技術を掛け合わせて、生体適合性情報を含むバイオ・高分子のデータベースを強化し、構築されたビッグデータを活用することで、バイオマテリアル創出の手法確立を目指す。

酒井研が保有する、合成・評価したアミノ酸の重合体であるタンパク質の実験データに対し、日立のMI向け独自AI技術を用いて分析することにより、高性能なタンパク質を材料用途にあわせて設計・開発を実施する。

酒井研では、数あるタンパク質の中から、有望な約20,000種のタンパク質を選定し、生体適合性を予想するうえで重要な水溶性などの指標について、実験や理論計算(分子動力学シミュレーション)を進めてきた。

この過程で蓄積してきたデータに、生体中に存在する分子全体を網羅的にまとめた「オミクス情報」を付け加え、生体適合性情報を含むバイオ・高分子のデータベースを構築することで、ビッグデータ駆動によるバイオアダプティブ材料開発を推進していく。

日立は、化学式のかわりにアミノ酸配列を分析するMI向け独自AIを提供することで、実験で性能評価するに値する最適な実験候補の材料を提示する。

酒井研は、提示された情報に基づいて実験計画を更新し、実験を進めることで、バイオアダプティブ材料の開発を行う。

これらの取り組みを通じ、両者はデータ駆動に基づくバイオマテリアル開発の手法確立を目指す。

今後、酒井研は、バイオアダプティブ材料の開発を進め、環境中で分解されることや、アレルギー反応を起こさないことなどの特性を有した新しいバイオマテリアルの基礎開発を推進するとしている。

日立は、今回の協創で培ったノウハウをLumadaソリューションとして提供している「材料開発ソリューション」へ適用する予定だ。

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