石油・化学品製造や医薬品製造プラントのプロセス設計では、運転ステップ毎にバルブや機器の状態による流体経路のチェックと、チェックの証跡として配管に色付けした配管・計装図面である「P&ID」の作成および提出が求められる。(色塗りフロー作業)
しかし紙、PDF、CAD図面などのP&IDで手作業と目視によるチェックには、労務コストの高止まりや、後続の設計・製造フェーズでの不具合発覚による手戻り作業の発生などが散見されているという課題があった。
こうした中、TIS千代田システムズ株式会社は、次世代のプラント設計図面ソリューションである「Dynamic Flow Navi(ダイナミックフローナビ)」に、プロセス設計業務を支援する「バルブパターン管理機能」を追加し、2023年10月より提供を開始することを発表した。
「Dynamic Flow Navi」は、複雑な系統を持つプラント・工場における、設計・運転・保全業務のDXを支援するソリューションだ。
デジタル化したP&ID上で、バルブ開閉や回転機器等のON・OFFによる流体経路の変化をシミュレーションすることで、紙の「P&ID」を手作業でトレースや色分けする手間をかけることなく、設計チェック、工事計画の立案等が可能になる。

2022年10月から基本機能の概念実証を実施し、保全工事の効率化と安全操業を支援する「ロック管理機能」を追加。2023年4月より製品版の販売を開始した。
今回新たに機能追加された「バルブパターン管理機能」は、運転ステップ毎のバルブ開閉パターンを設計・登録できるほか、不適切なバルブ開閉による異物混入の発生有無を即時判定し、画面上で確認できる機能だ。
「Dynamic Flow Navi」上のバルブ操作で流体経路の自動色付をチェックしながら、運転ステップ毎のバルブ開閉パターンを設計・登録できる。
また、登録した開閉パターンを呼び出し、色塗りフローのPDF出力や修正も行うことが可能だ。(トップ画参照)
さらに、指定した複数の運転ステップを実行した際に、不適切なバルブ開閉による異物混入の発生有無を瞬時に判定し、競合する運転ステップ箇所と配管を「Dynamic Flow Navi」上で確認することができる。

大手エンジニアリング会社によるバルブパターン管理機能の事前検証の結果では、「P&IDの色塗りチェック作業の工数を50%以上削減する効果が期待できる」との評価を得ているのだという。
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