株式会社YE DIGITALは、同社が提供するAI画像判定サービス「MMEye」を導入している電炉メーカである東京製鐵株式会社九州工場の圧延ラインにおける外観検査で、2023年4月から運用を開始し、集中力を要する疵(キズ)検査において、作業負担が軽減されたことを発表した。
東京製鐵は、同社の主力製品「H形鋼」を国内3拠点で製造している。「H形鋼」は、建材や基礎杭などに使われている形鋼のひとつだ。
「H形鋼」は、重さや衝撃に耐える必要があることから、安定した品質が要求される。そのため、東京製鐵では製造ライン上で目視による検査を実施し、表面に疵のある製品を除いていた。
しかし、集中力を要する目視検査は負担が大きい作業であるほか、安定して精度の高い判定ができるベテラン検査員の確保が課題になっていた。
そこで、2021年4月より、AIによる画像判定と人による検査を併用できないかを検討し、2021年8月からAIによる画像判定サービス「MMEye」の検証が開始された。
「MMEye」は、YEデジタルのAI「Paradigm」を搭載した、製造現場でリアルタイムにAI画像判定を可能にするサービスだ。
また、AIを用いて精度の高い判定をするために、画像処理技術を有するデータサイエンティストの専門技術者チームによるトータルコーディネートを実施している。
AI画像判定では、良品と不合格品それぞれの画像をAIに覚えさせることで、ベテラン検査員の判定基準を学ぶ。そのうえで、AIによる画像判定が実際の運用に耐えられるか、2段階に分けて検証をした。
1段階目では、AIの能力を評価する為、疵の種類を絞り、疵が正しく検知できるかを検証。2段階目では、検知精度の向上を目指してAIの追加学習を行い、新たな画像判定モデルを構築し、確認した。
また、製造現場では疵の有無だけでなく、鋼材上の疵の場所を特定する必要がある。
そこで、疵の位置を表示するアプリケーションを開発し、既存のシステムと連携を図ることで、「疵の場所がわかりやすくなった」と評価され、2023年4月に本格運用が開始された。
今後東京製鐵は、「省力化と効率化の両立をめざし、AIの追加学習で疵の検知精度を上げる一方、作業負荷が高い現場への展開を期待している」としている。
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