近年、センサーを常設することで機械設備の状態を監視し、トラブルを未然に防ぐ予知保全のニーズが高まっている。一方で、従来から生産現場においては、機械設備のトラブルを未然に防ぐために人手による定期点検および予防保全が行われており、多大なリソースが掛かっている。
日本精工株式会社(以下、NSK)とTOPPANエッジ株式会社は、温度センサー搭載RFID(※1)タグを活用した、産業機械設備向け保全管理システムの共同開発を開始した。
同システムは、産業機械設備に取り付け可能な「温度センサーを搭載したRFIDタグ」と、そのタグに対応した「RFIDリーダー」および「取得したデータを管理分析可能なシステム」で構成されている。温度センサー搭載RFIDタグを保全対象となる軸受や直動製品などの近傍に取り付けておき、機械設備の稼働時や点検/保守の際にRFIDリーダーをかざすだけで複数のID情報と温度情報を一括で読み取り、効率的な管理が可能となる。
今回開発したRFIDタグは、産業機械設備の金属面の電波干渉を受けても通信が可能だ。温度測定に必要な電力もリーダー側から無線で給電されるパッシブ方式(※2)で設計しているため、バッテリーレスでメンテナンスの手間が軽減される。また、独自のアンテナ設計と基板構成の最適化により小型でスマートなため、貼り付ける場所を選ばずに設置できる。
さらに、RFIDリーダーにて取得したID情報と温度情報から、点検/保守の履歴や過去からの温度推移の他に、製品番号や稼働開始日など、様々なデータをより早く容易に記録/照合できる。
同システムにより、産業機械や設備の点検/保守履歴の見える化による作業効率向上や、現場で保守履歴・温度推移が確認可能になることによる予防保全の効率化が期待できる。
今後NSKとTOPPANエッジは、2024年度のパイロットユーザーによる実機検証の実施を目指す。
※1 RFID:Radio frequency identificationの略。電波を用いて非接触でデータを読み書きする技術。
※2 パッシブ方式:電源を持っていないタグが読み取り機(リーダーライタ)からの無線電力を使用して応答通信する方式。
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