株式会社プライアは、予知保全AI機能を既存設備に実装するソフトウェア「WaveTrackr」を2023年11月15日よりリリースする。
「WaveTrackr」は、設備の振動現象を計測・解析してリアルタイムに異常検知を行うことができるソフトウェアだ。
異常検知は、軽量化された再構成誤差のアルゴリズムで構築されており、モデル学習と推論にGPU等は不要で、標準的なノートPCで動作させることができる。
異常兆候が見られる際は、OKかNGの判定だけではなく、従来手法による詳細解析と紐付けて、状態を掘り下げて理解することが可能だ。
対象設備の状態は、加速度センサを用いて振動データとして収録する。データは、時系列波形やリサージュ図形、FFTによる周波数スペクトルやスペクトログラムを用いて解析される。
また、ピークやRMS、波高率などの特徴量はトレンドグラフ表示され、異常検知と紐付けて管理される。
異常検知は、再構成誤差のアルゴリズムで実装されており、設備状態の異常度が数値化される仕様だ。
ユーザはしきい値を設けることで、常時監視が可能になる。また、設備状態は2次元の散布図にもマッピングされ、状態変化がリアルタイムに可視化される。(トップ画)
「WaveTrackr」には、機能ごとに4つのタブがあり、これを切り替えて異常要因を深掘りすることが可能だ。
下図は、加速度、速度、変位の時系列波形とリサージュ図形だ。例えば、回転部位のアンバランスやミスアライメント等が生じている場合、リサージュ図形にてその様子を確認することができる。

収録と同時に周波数スペクトルも計算され、自動ピーク検出により、例えば設備のベアリング異常を解析したり、またスペクトログラムにて周波数ピークの時間変化をモニタリングしたりすることも可能だ。

また、加速度と速度の時系列波形に対する振幅の度数分布や、ピーク、RMS、波高率の他、平均、分散、歪度、尖度といった統計量も同時に計算される。
ユーザの選択により、トレンドグラフに特徴量を表示して傾向を確認することができる。加えて、こちらの特徴量に直接しきい値を設けて、モニタリングおよび自動保存することも可能だ。

ハードウェアは、NI(旧ナショナルインスツルメンツ社)やThe Modal Shop社、Broadsens社など、複数メーカの計測ハードウェアに対応しており、今後も対応機種を増やしていく予定だ。
また、サポート外のハードウェアで取得したデータでも、フォーマットを合わせることでオフライン解析が可能だ。

現在、ユーザが「WaveTrackr」で作成した最適なモデルを取り出して移植できる、常時監視用スマートセンサを開発中だ。
また、マルチモーダルモデルによる要因特定型システム(前述)との連携も進めているのだという。
「WaveTrackr」単体では、対応ハードウェアの拡充、異常検知アルゴリズムの増強といった機能面での改良を予定している。
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