株式会社コズムは、自動車用製品を製造する三桜工業株式会社の部品製造工程において、AIを活用した気密検査のPoCを約1ヶ月間行い、気泡検知に成功したと発表した。
三桜工業では、自動車用重要保安部品と呼ばれる二重巻鋼管を使用したブレーキ配管、一重巻鋼管や樹脂チューブを使用した燃料用などの配管などを製造している。これらの多くは人命に関わるため、厳格な品質管理が求められる重要保安部品だ。
そこで今回、それらの重要保安部品の品質管理において、AIを活用した気密検査工程の品質を均一化するシステムを導入した。
従来の品質管理方法では、部品の欠損を確認するために、人が手作業で部品を水中に浸し、気泡の有無を目視で確認していた。
今回のPoCでは、AIによって画像データを学習させ、気泡を検知する手法を採用。様々な気泡のデータを機械学習させたモデルが気泡を判別し、検知するという仕組みで行われた。
機械学習には、数千〜数万枚ほどの画像データが必要であり、大量の画像データ収集が行われた。撮影パターンは照明の明るさ、レンズの絞り値、カメラを置く位置、気泡の発生位置などに応じて場合分けされ、様々な状況でのデータ収集が実施された。
その結果、約1ヶ月の間に98%以上という精度での気泡検知に成功した。また、その際に気泡以外のものを気泡であると誤検知することはなかったのだという。
![コズム、三桜工業の気密検査工程でAIによる気泡検知に成功](https://iotnews.jp/wp-content/uploads/4e13206fc723e4e0af3a7669b30f4195.jpg)
上図の元画像データの中央に見られる粒が気泡であり、検出データではその気泡に「bubble」というアラートマークがつく。当初、気泡が線状に発生していることに注目し、線状になっている範囲をまとめて選択してラベリングをしたが、それによって作成したモデルの精度は要件の水準を下回る結果となった。
そこで、気泡を個別にラベリングし機械学習を行うことで、高精度で気泡を検出することが可能となった。
今回はPoCの機能要件を満たしたため、今後は、試作・製品化段階に移行するとしている。今回のPoCによって、検知結果の不整合は学習させる画像データに起因するものであり、物体検知というソリューション自体や学習モデルに問題がないことが明らかになった。
そのため、試作・製品化段階では、カメラで気泡を確実に捉えることが課題となる。今後は、発生しうる最小サイズの気泡であっても撮影が可能であること、気泡がどの位置で発生しても撮影と検知が可能であることを満たす製品を開発する計画だ。
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