5年越しのビジョンを実現したトヨタとソニー、実現力の差が出る年へ ーCES2025レポート1

毎年ラスベガスで開催さている、CES2025のレポート第一弾は、トヨタとソニー(ソニーホンダモビリティ)の発表から。

実は、両社に共通するのは、トヨタは「WOVEN CITY」、ソニーは「VISION-S」という2020年のCESで大きな発表を行なっていたことだ。

2020年といえばコロナの年で、年初にラスベガスを訪れて以来、すべての世界の展示会には参加することができず、その後数年はオンラインでのイベント開催が強いられた。

そんな逆境とも言える状況でも、両社は開発を進め、ソニーはホンダと提携し、5年越しにその成果を我々の前に見せてくれた。

WOVEN CITYついにこの秋より入居開始

トヨタの豊田氏は、モビリティの未来を模索するべく、富士山の裾野に造られた新しい街だ。

街のコンセプトは、ゼロベースで作られているため、これまでのそれとは一線を画している。

人とモビリティが共存するような空間も考えられていて、当時もう一つ話題を呼んだe-Palletと呼ばれる箱型の車がさまざまな生活を支える機能を果たしてくれる。

スズキ、モジュール化された車
今回のスズキのブースでは、e-Palletのコンセプト通りの、上部がモジュール化された車を展示、ベースはジムニー

その後、e-Palletのコンセプトは、世界の自動運転カーに大きな影響を与え、現在、運転席のないバンのような自動運転カーはこの形が多い。

今回の発表で、豊田氏は、「第一フェーズの開発が完了し、秋には100人規模での入居を開始する」と述べた。

初めは関係者からスタートし、その後2,000人くらいの規模には増えるという。すでに第二フェーズの開発が着手され、さまざまな企業と共同で新しいくらしの空間づくりが行われるということだ。

今後は、スタートアップ企業のアクセラレーションが行われたり、各種研究開発などもこの場で行われる。

AFFELA1 発売開始

CES2025 ソニーホンダモビリティ AFFILA1

一方、ソニーのVISIONーSの方は、どうだろう。

当時の発表では、決して公道を走る前提とは言わず、どちらかというと、ソニーのセンサー技術を集めることで、高度な運転支援やエンターテイメント空間を作り出すことが可能だというものだった。

しかし、反響がおおきかったからか、その後ホンダと提携し、ソニーホンダモビリティが設立され、VISIAON-SはAFFELAと名前をかえ、ついに、今回のCESでAFFELA1と呼ばれる車が発表された。

2025年中にカリフォルニア州で正式に発表し、2026年には納車が開始される。

CES2025 ソニーホンダモビリティ AFFILA1

以前から発表があった通り、40ものセンサーを搭載し、認識、予測、行動計画を行うAIを搭載したECUを装備。

立体音響技術を駆使した室内空間では、さまざまなエンターテイメントが楽しめるということだ。

約1,420万円からという価格帯で、テスラのモデル3が500万円台から買えることを考えると、決して安いものではない。

航続距離も483kmなので、テスラモデル3がの573km程度と比べると、決して割安感はない。一千万円台で買える、BMW iXの650km程度、メルセデスEQSの750km程度などと並べるイメージなのだろう。

ソニーホンダモビリティとしては初めての車となるAFFELA、実際に走行している車に乗れるのが楽しみだ。

実現能力の高さが鍵に

CESに毎年参加すると、「こんな未来が来るのか?!」と驚くような展示があったり、イメージビデオを見ることができるが、実際に市場に上市され生活者の評価を受けるところまでいけるものは案外少ない。

ここ数年、スタートアップブームもあって、さまざまなコンセプトが提示される中、少なくはない金銭的、人的投資を考えると、2025年以降は実現能力の差が如実に出てくる可能性が高い。

実際、世界のスタートアップ企業を見ていると、面白い技術を発表している企業は大手企業のインキュベーションをうけて、研究開発をしているようなケースも増えてきているように感じる。

何を作るにせよ、お金だけ集めても、ユーザや市場への距離が遠ければ、結局は夢絵ぞらごとになるということが広く理解され始めているのかもしれない。

一方で、米国によるHuaweiの制裁以降、元気がなかった中国系企業が復活し、インドなど多数の国の企業がチャンスを狙って展示してた。

例えば、昨年サムスンがGalaxy Ringが発表されたからか、今年のCESでは一気にリング型のヘルスケアグッズが展示されていた。

CES2025 RINGデバイス
リングを提供するNoise社はインドの企業だ、ストレス、睡眠、心臓の健康、血中酸素など、複数のバイオマーカーを監視するために、高度な AI 駆動型の分析情報を統合することができるという。

こういった機敏な動きは、生産現場が近く、割安なコストで生産を行える環境があることがうかがえる。

そんな中、日本を代表する両社が、5年越しに実現された世界を見せてくれたことが嬉しい。

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