日立グループ、IoT対応産業用コントローラ「HF-W/IoTシリーズ」のラインアップに3モデルを追加、販売開始

株式会社日立製作所、株式会社日立産業制御ソリューションズ(以下、日立産業制御)および株式会社日立産機システム(以下、日立産機)は、IoT対応産業用コントローラのハイエンド機「HF-W/IoTシリーズ」のラインアップに、ファンレス化*1や小型化、耐環境性を高めることで、産業機械・設備への組込みを可能にした「HF-W100E/IoT」を追加する。「HF-W100E/IoT」は、PLC*2言語対応のモーションモデルとCNC*3搭載モデル、新たにC言語に対応したC言語モデルの3モデルあり、12月下旬より順次販売開始する。

近年、サプライチェーンのグローバル化やIoTを活用したモノづくり・サービスの革新が求められる中、スマートファクトリーにおける産業用コントローラには、従来のリアルタイム制御だけでなく、設備機器の稼働状況などに関するデータを収集し、上流システムと連動するエッジコンピューティング*4が求められるようになってきた。

しかし、産業機械・設備の多くは、PLCや専用コントローラで制御されており、メーカーごとに異なるアーキテクチャ*5となっている。産業界の新たな潮流であるIoTやグローバル展開に対応するためには、オープンなアーキテクチャによる高速に設備を繋ぐフィールドバス*6、効率的なプログラミング言語、リアルタイム制御とエッジコンピューティングを両立させながら、産業機械・設備と上流システムを繋ぐIoTに対応した産業用コントローラが求められている。

こうしたニーズに対応するために、日立と、日立産業制御、日立産機の3社は、オープン化、高性能化、シンプル化を実現したIoT対応産業用コントローラのハイエンド機「HF-W/IoTシリーズ」の新たなラインアップとして、ファンレス化や小型化、耐環境性の向上を図ることで、産業機械・設備への組込みが可能な「HF-W100E/IoT」を製品化した。HF-W100E/IoTの特長は以下のとおり。

ファンレス化、小型化、耐環境性向上を実現
熱設計、筐体*7、部品配置を工夫することで自然空冷を行える設計とし、ファンレス化と小型化を実現するとともに、耐環境性も向上。これにより、産業機械・設備への組込みを可能とした。
PLC 5言語とC言語をサポート
従来のHF-W/IoTシリーズで基本プログラミング言語としている国際標準規格IEC61131-3*8に準拠したPLC 5言語*9のほかに、機器組込み設計にて多く使用されているC言語にも新たに対応。これにより、高い汎用性を実現する。
新機能の追加
- Windows® Embedded Standard 7に加え、最新Windows® 10 IoT Enterprise(64bit)をサポート。いずれもMUI版で日本語を含めて6ヵ国語に対応*10している。
- UL/CSA/CE/KC/CCC/BSMIの海外安全規格を取得している。
- 高解像DisplayPort®とDVI-Iの2画面同時出力をサポート。

*1　ファンレス化:冷却部品としての送風機(ファン)を使わない設計とすること。
*2　PLC(Programmable Logic Controller):リレー回路の代替装置として開発された制御装置。
*3　CNC(Computerized Numerical Control):生産の加工工程においてコンピュータを利用して数値制御する技術。
*4　エッジコンピューティング:ユーザーの近くにエッジサーバを配置することでクラウドサービスをエッジ(ネットワーク端面)に近づけデータ処理の速度と能力を高める技術。
*5　アーキテクチャ:コンピュータシステムの論理的構造。
*6　フィールドバス:工場などで稼働している現場機器(測定器、操作器)とコントローラ間の信号のやり取りをデジタル通信を用いて行う規格。
*7　筐体:機械や装置の本体部分(カバーも含める)のこと。
*8　IEC61131-3:国際電気標準会議(IEC)が1993年12月に発行した標準規格で、PLC用の以下の5種類のプログラム言語を定義したもの。
*9　PLC5言語:ストラクチャード・テキスト、FBD:ファンクション・ブロック・ダイアグラム、LD:ラダー・ロジック、SFC:シーケンシャル・ファンクション・チャート、IL:インストラクション・リスト。
*10　MUI版は6ヵ国語に対応:MUI(Multilingual User Interface)英語版をベースに日本語、中国語、韓国語、ポルトガル語、タイ語に対応した言語パックを搭載。