アップルとGE(General Electric)は、GEの産業界向けIoTプラットフォーム「Predix(プレディックス)」を通じて予測データの取得と分析が可能な産業用アプリケーションを、iPhoneおよびiPadに提供すると発表した。
また、iOS向けのPredixソフトウェア開発キット(SDK)も発表した。デベロッパはこのツールを利用して独自の産業用IoTアプリケーションを開発できるようになる。
GEのIoTと言えば世界的な成功事例の一つだ。航空機エンジンに装備したセンサーから入手したデータの解析により、燃費の消費を減らす航路情報やエンジン故障の予知保全サービスを提供した事例は、IoTの可能性を世界に広める契機となった。
その根幹を支えるのがGEが独自開発したIoTプラットフォーム「Predix(プレディックス)」である。
GEのIoTプラットフォーム「Predix」の詳細については、以下のインタビュー記事を参照されたい。
そして、今回発表されたPredixのアプリケーションは、産業分野のオペレータが自分のiPhoneやiPadを操作して、自社装置の性能に関する洞察を得たり、可視化を行ったりすることを可能にするというものだ。
例えば、あるPredixアプリケーションでは、風力タービンのような機器に見られる潜在的な問題をiPhoneを手にした作業者に知らせ、遠隔地にいるチームと協力して、その場で検査や修理したり、関連データの収集を支援したりすることが可能だ。
こうした産業用アプリケーションは、情報ループをいち早く閉じることで、コスト削減や予期せぬダウンタイムの最小化に貢献する。
GEは、Appleとの提携により、社内向け顧客様向けの両方のアプリケーションを開発できるようになるため、従業員が自分の仕事の質を高め、より効率的なオペレーションを実現するツールを得られるようになることを狙っている。
App Storeで提供中のGE APM Cases(アセット・パフォーマンス・マネジメント導入事例)アプリケーションは産業分野のビジネス向けに、機械の信頼性や可用性を高めると同時に、保守費用の削減と操業時のリスク管理を支援する。
Exelon Corp.などの企業では、APMアプリケーションを作業に導入済みで、機器のアップタイムの改善と全般的な生産性の向上を実感しているという。
GEは、iPhoneとiPadを同社のモバイルデバイスの標準とする一方で、コンピュータはMacを推奨していくことを予定している。またAppleは、同社の顧客とデベロッパに対して、最良のIoT分析プラットフォームとしてGEのPredixを推奨していくことを予定している。
【関連リンク】
・アップル(Apple)
・GE(General Electric)
無料メルマガ会員に登録しませんか?

技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。