在宅介護向けのサービス
小泉: Z-Worksは、以前は在宅介護向けのサービスもやられていたと思いますが、継続してやらないのですか。
小川: 在宅介護の話もあります。以前から取り組んでいた電力会社とのサービスは引き続きやっていますが、なかなか難しいのが現状です。システムとしては成り立っているのですが、マネタイズできていません。
需要があるからといってビジネスモデルが構築できるわけではないので、自治体と共に取り組んでいこうと考えています。
具体的には遠隔診療、訪問介護、ADL外出の回数を見る、といった取り組みです。
※ADL: 日常生活活動度(Activities of daily living)。人が生活を送るために行う活動能力。
例えば外出を検知すれば、ゴミの日にゴミを出しているかが分かります。ゴミの日にゴミを出すということは、曜日感覚がまだあるということです。逆にゴミを出せなくなっていたら要注意、ということです。これはたくさんセンサーを入れなくても、人感センサーで分かります。
自治体がやるべきなのは、健康寿命を延ばし、医療費と介護費の削減をすることだと考えています。ですから、まず電力会社とパッケージを作り、提案していこうと思っています。
今後の展望
小泉: 今後の展望をお聞かせください。
小川: 褥瘡(ジョクソウ)発症ゼロを目指しています。褥瘡(ジョクソウ)とは、床ずれのことです。
床ずれが起こると、現場の負荷が一気に上がります。床ずれはお尻の周りにできることが多く、そこに尿や便が流れ込むと、骨髄炎や敗血症に発展する恐れがあるので、オムツの交換を頻繁にやらなければなりません。そして体位交換といって、体の向きを変えてあげるのを、2時間に一度必ずやらなければなりません。
褥瘡リスク軽減の為に、ベッドの上でどれくらい寝返りを打ったかカウントできるようにします。そうするとデータが蓄積され、徐々に寝返りの回数が減ってきたということや、突然この日だけ全く寝返りを打っていないことなどがわかり、体位交換すればいいタイミングをあらかじめ知ることができます。
また、高齢者の方が入所してすぐの方だと、どういった特徴の寝相なのか、何回くらい寝返りを打つのか分からないので、現場の見解ではなく、センサーで見ていくメリットがあると考えています。
現段階では、7本センサーで、どの位置で寝ているか、右向きか左向きかといったことまで検知していく構想です。その寝返りが自発的な寝返りなのか、スタッフによる体位交換なのか記録しておくことも重要です。
さらに、オムツ交換をしているのか、貧乏揺すりなのか、くしゃみなのかなど、どの動きなのか機械学習にかけて判別できるようにします。
こういったことを可視化することにより、ケアワーカーさんが、適切なタイミングで、適切な対処をとることができると考えています。
小泉: 本日はありがとうございました。
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