「Microsoft Teams」活用による医療現場改革
日本マイクロソフト・大山氏は先に挙げた3つの取り組みテーマについて、それぞれ具体的な事例を紹介した。
まず1つ目の医療現場の改革については「医療機関の生産性向上と新しい働き方改革を推し進めていきたいと考えている」とし、「その中核に同社のコミュニケーションツールである「Microsoft Teams」を活用し実現を図っていきたい」と述べた。
具体的には「Microsoft Teams」を使い、チームの連携やデータ共有をスマートフォンや自宅PCから簡単に行うことで多職種の連携を加速していきたいという。さらに「電子カルテなど医療機関で使われているアプリケーションと「Microsoft Teams」の連携を強化させる」ことも大山氏は付け加えた。
目標としては今年1年間で約20の基幹アプリケーションとの連携を進めるべくパートナーと協議を重ねているという。その第1弾として、救急カルテを作っているTXP Medicalの救急カルテシステム「NEXT Stage ER」と「Microsoft Teams」の連携をマイクロソフトは先日発表している。
この連携については「「NEXT Stage ER」に書かれた情報から、病院から転送する際の紹介文面を自動的に作成するAI機能を備えたものだ。今までは病院から転送する時に紹介状の文面を医師自身が書く必要があったが、それをAIで自動的に作成することで手間を削減する」というものだそうだ。
「Microsoft Teams」活用については既に病院単位で導入しているところがあるという。大山氏が挙げたのは岡山の倉敷中央病院だ。
倉敷中央病院はチーム医療を進めているが、医師・看護師・薬剤師といった様々な職種の中でもコミュニケーションを「Microsoft Teams」で共有しているという。これによって「毎日のカンファレンスが儀式的なものから意思決定の場に変わった」「当直の際、医師の専門外の急患が来た場合でも、自宅の専門医と連携してタイムリーに対応できる」といった効果があったそうだ。
こうした現場での働き方改革を推進するために、日本マイクロソフトでは「医療従事者向けの働き方改革リーダーコミュニティ」というものを設立したという。「目標としては約1,000名の医療従事者の働き方改革を現場で支えてくれるリーダーの育成支援をし、リーダー同士のコミュニティを醸成する場も併せて用意していく予定だ」と大山氏は語った。
テクノロジーによる医療の質の均てん化
次に日本マイクロソフト・大山氏が説明したのは医療の質・均てん化の事例である。
大山氏は事例を紹介する前に、日本マイクロソフト全体として以下の3つのテクノロジーについて重点的に取り組んでいることを説明した。
・Mixed Reality(複合現実)
・AI
・量子コンピューティング
このうちAIについてはさらに「視覚」「音声」「言語」「知識(文章を読み込んで、文脈を読み取り、分析する)」の4つの領域に分かれるという。
今回の医療の質の均てん化に関しては、複合現実とAIを使って貢献していくと大山氏は述べた。
次ページは、「アステラス製薬の複合現実活用」
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。