現在、新型コロナウイルスの感染拡大によりひっ迫する医療現場において、医療画像データをもとに医師の診断をサポートする動きが広がっており、世界中の研究者がAIを用いて新型コロナウイルスを検出するための研究、開発を行っている。
新型コロナウイルスを検出するためのAIエンジンを開発するには、膨大な量の匿名化された質の良い医療画像データをAIに学習させることが必要であるが、現在学習に必要な医療画像データとそれに付随する画像における新型コロナウイルスの所見情報が不足している。
株式会社NTTデータの海外グループ会社のNTT DATA Servicesは、診断後の医療画像をアーカイブするソリューション「Nucleus for Unified Clinical Architecture(以下、Nucleus for UCA)」に、新型コロナウイルスの診断をサポートする、画像診断AIの開発や検証に必要なさまざまな学習データを集約・提供する新型コロナウイルスデータレポジトリー(※1)を追加した。合わせて、医療機関や画像診断AIの開発者等に学習用データを無償で提供する。
Nucleus for UCAは、医療機関等から提供された新型コロナウイルスも含むさまざまな病気の匿名化済み医療画像データをもとに、医療画像診断AIの開発に適した医療画像データおよび検証に必要なさまざまな情報を集約・提供するソリューションである。
今回追加された新型コロナウイルスデータレポジトリーには、NTT DATA Servicesと契約したパートナー病院等がアップロードすることにより提供される新型コロナウイルスのデータが格納される。そのデータにNTT DATA Servicesがこれまで収集した医療画像データを用いて学習させたアルゴリズム等を活用してアノテーション(※2)を付与し、医療画像AI開発に適したデータを作成する。
医療機関や画像診断AIの開発者が同ソリューションを活用することで、新型コロナウイルス検出精度向上と患者トリアージ(※3)の向上が期待できる。これにより、医療画像データの確認や異常個所の検出といった作業が自動化され、医療従事者の負担軽減が期待される。
※1 レポジトリー:データの格納場所。
※2 アノテーション:特定のデータに対して関連する情報を注釈として付与すること。
※3 トリアージ:患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うこと。
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