日常診療や、定期健康診断等で実施される胸部X線検査において、上記の異常陰影が見られた場合には、必要に応じて精密検査によって病変の確認を行う。所見によっては、重篤なものもあり、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要となる。
胸部X線検査は、被験者の被爆及び費用負担が少なく、比較的簡便に行うことができる検査であり、病院で最初に行う画像検査、人間ドックや健康診断に欠かせない項目となっている。しかし、その一方で撮像された画像の診断・読影は膨大な数となり、医師の負担は増大している。
エルピクセル株式会社は、胸部X線画像の読影診断を支援する「EIRL Chest Screening」について、新たに3つの異常陰影領域(浸潤影(※1)、無気肺(※2)、間質性陰影(※3))を検出する機能を追加した新モデルを発売した。
従来のEIRL Chest Screening は、胸部X線画像から肺結節候補域を検出するEIRL Chest Noduleと、胸腔内の空気含有面積・肋骨横隔膜角・心胸郭比・縦隔幅・大動脈弓径を自動計測するEIRL Chest Metryの2つのソフトウェアを統合した製品である。
今回の新モデルでは、EIRL Chest Noduleに代えて、結節影(※4)だけでなく浸潤影、無気肺、間質性陰影を検出する機能を持つソフトウェア(販売名:医用画像解析ソフトウェア(EIRL Chest XR))を追加した。
今回の新モデル発売に際し、同ソフトウェアを用いて読影したところ、医師単独で読影した場合と比べて専門医で11.1%、経験5年未満の非専門医で15.5%の感度が上がることが認められた。また、読影試験における診断性能を表すJAFROC解析によるFOM(Figure of Merit)値は、同製品を併用すると専門医で0.059ポイント向上し(p<0.001)、診断精度の向上が認められた。
※1 浸潤影:結節影よりも広い範囲に及ぶ陰影で主に肺炎や肺結核などの肺感染症に見られる画像所見。
※2 無気肺:肺が虚脱した状態を示す所見で、肺葉レベルから末梢の細気管支レベルまで生じる可能性がある。
※3 間質性陰影:索状影、網状影、線状影などの特徴をもつ間質が変化した場合の所見。
※4 結節影:円形・類円形の陰影で悪性の肺腫瘍(肺がん)のほかに良性肺腫瘍や様々な限局性の肺疾患が疑われる所見。
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