沖電気工業株式会社(以下、OKI)と国立大学法人大阪教育大学(以下、大阪教育大学)は、2022年に締結した共同研究契約に基づく実証実験において、OKIが開発中の「体育ICTソリューションシステム」を活用することで、授業内容の質の向上や教員の負担軽減に効果があることを確認した。
「体育ICTソリューションシステム」は、生徒の腕にリストバンド型のウェアラブル端末を付けて、運動や体調データを取得し、生徒および教員がタブレット端末でリアルタイムにモニタリングするシステムだ。
実証実験で活用された通信は、バイタルセンサー無線ネットワークだ。これは、広い領域において、多人数(~数百人)が高速移動(~10m/s)している状態で、各人の体表温度や脈拍などのバイタル情報を、10秒以下といった低遅延で収集することを可能とした無線ネットワークだ。
このバイタルセンサー無線ネットワークを活用することで、従来は屋内の体育館などに限られていたリアルタイムデータ通信が、屋外のグラウンド(約200m四方)で100人程度の生徒が動きまわる状況においても可能になった。
実証実験では、体育科授業での運動や体調モニタリング場面における有用性の検証および、無線通信技術の実装性の検証を目的として、「体育ICTソリューションシステム」を活用した。
具体的には、大阪市の公立小学校、および大阪教育大学附属天王寺小中学校で、集団でさまざまな運動を行なう体育授業(64授業、延べ生徒数382名、1授業での最大生徒数56名)において、教員および生徒のバイタルセンサから得られる心拍数・運動強度・体表温度等の身体情報を、リアルタイムにモニタリングしながらの授業を、2022年9月~12月に実施した。
そして授業前後、生徒・教員に対して、ICTを活用した体育授業に関するアンケート調査を行った。
検証結果、屋外の体育授業で動き回る生徒の運動や体調など身体情報を、約92%のデータ収集率でリアルタイムに収集できることが確認された。
さらに、実証実験後に大阪教育大学が実施したアンケートでは、参加した生徒の満足度を約90%獲得したのだという。
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