わが国では、平均寿命と健康寿命のギャップにより、国が負担する医療費の増大などが課題になっている。こうした状況を受け、政府は、国民一人ひとりの健康寿命を延伸させるため、予防、健診・検査、診断、治療といった医療提供のサイクルで切れ目のない連携体制を整備し、一次・二次・三次予防の網を張り巡らせようと取り組んでいる。
しかし、現状では、各サイクルに対する個別サービスは存在するものの、複数のサイクルをまたいだサービスや、保険者、健診・医療機関など複数の事業者に対応するサービス、また、それらから得た医療情報を一元的に管理し、包括的に提供できるサービスは限られている状況だ。
ANA X株式会社、株式会社インテグリティ・ヘルスケア、サワイグループホールディングス株式会社、株式会社日立システムズは、日本ウェルビーイングコンソーシアムを設立すると発表した。
日立システムズは、要配慮個人情報である医療情報を安心安全に運用できる3省2ガイドラインに対応したアマゾン ウェブ サービス(AWS)が提供するクラウドサービスのプラットフォームとPHR(※)情報を格納できるPHR基盤を提供している。
このプラットフォーム上で、インテグリティ・ヘルスケアのPHR管理システム「Smart One Health」、サワイグループホールディングスのPHR管理アプリケーション「SaluDi」、ANA Xのモバイルアプリケーションサービス「ANA Pocket」、日立システムズの「健康支援サービス(健康経営)」および「健康支援サービス(MIRAMED)」を提供する。
ANA Pocketは、航空移動だけでなく、徒歩・自転車・電車・モノレール・新幹線・自動車・フェリー等のすべての移動に対してポイント・ANAマイルが貯まるモバイルアプリケーションサービスである。また、MIRAMEDは、東京大学COIが開発したAIを活用して将来の生活習慣関連疾患のリスクを見える化し、動機付けを促す各種機能により対象者の行動変容と健康増進をサポートする健康支援サービスである。2021年11月に日立システムズより、遠隔特定保健指導のサービス提供が可能となった。
日本ウェルビーイングコンソーシアムでは、PHR基盤と各社のアプリケーションを組み合わせ、ポイントなどのインセンティブなども取り入れた形で自治体、健康保険組合、企業に対して健康経営や健康増進など、QoL向上のための行動変容をテーマにしたウェルビーイングの支援を実施する。
まずはファーストステップとして、健康なまちづくり、観光の誘致、また移動先でのヘルスケアサービスを提案していく。また、賛同企業、団体、アカデミアとの連携先を増やし、ウェルビーイングで実現できる範囲を拡げるとともに、同取り組みで得られるデータの分析により、各サービスの機能のアップデートを行い、エビデンスに基づいた「健康~未病~特定保健指導~受診勧奨までのワンストップサービス」の提供を強化していく。
さらに、日本のどこに居ても日々のバイタルデータを医師・薬剤師に共有しながら医療サービスが受けられる体制の構築に取り組む。
※ PHR(Personal Health Record):個人の健康診断結果、服薬履歴、日常生活でのバイタルデータ等の保健医療情報。
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