労働人口の減少による人員不足や長時間労働、テレワークやオンライン会議といった働き方の多様化、また職場の人間関係の悩みやハラスメントなど、企業の従業員を取り巻く環境や組織が抱える問題は変化している。
経済産業省の認定制度である「健康経営優良法人」の認定状況によると、2022年度に申請した法人約17,000社のうち、14,000社以上が中小規模法人だった。企業が従業員の健康保持・増進に取り組むことによって従業員の生産性が高まり、業績の向上や企業価値の向上に繋がる。また、人材の定着や採用面にも良い影響を与えることから、大企業だけではなく、中堅・中小企業でも従業員の健康管理を経営的な課題と捉え、健康経営に取り組む動きが加速している。
また、従業員が50名以上の法人では、労働安全衛生法(※)により、健康経営の基盤となる産業保健の取り組みに関わる産業医の選任やストレスチェック、定期健康診断結果報告書の提出などが義務となっている。しかし、中堅・中小企業においては、人事・労務部門や健康保険組合の担当者が健康管理業務を兼務していることが多く、業務負荷の増加や健康情報が紙で管理されているため煩雑になるなど、健康管理業務の効率化が求められる一方、なかなか進まないのが現状だという。
株式会社ベルシステム24とウェルネス・コミュニケーションズ株式会社は、2022年11月に業務提携契約を締結し、ウェルネス領域での課題解決や、新たなビジネスの創造などに向けて連携を進めてきた。
このほど両社は、従業員の健康管理に課題を抱える中堅・中小企業向けに、従業員マスタ、健康診断、勤怠などのデータを連携するだけで、企業の人事や労務部門の担当者に代わって従業員の健康情報をデジタル化し、健康管理業務をまとめて運用代行する「中堅・中小企業向け健康管理業務一括代行サービス」の提供を開始した。
同サービスは、健康経営を推進する企業に向けて、ウェルネス・コミュニケーションズのクラウド型健康管理システム「Growbase」の中小企業向けプラン「Growbaseネクスト」を活用し、ベルシステム24が業務プロセス設計・運用フローの構築からシステム導入支援・運用までを行う一括運用代行サービスである。
Growbaseネクストは、健康診断結果、ストレチェック結果、労働時間、各種面談記録などの健康情報をデジタル化し、一元管理することができる。同サービスでは、さらに従業員マスタの登録・更新や、健康診断の結果収集、ストレスチェックの実施案内、要面談者の抽出及び面談調整などの煩雑な健康管理業務を人事・労務部門の担当者、従業員、産業医のハブとなって一括代行する。
また、企業内に専門人材が不在で、健康経営に関する知見がなく最適な運用が分からない場合でも、ベルシステム24内の労働安全衛生法対応経験者や保健師などの有資格者が伴走し、産業保健や健康経営に関する施策の立案・実行を支援する。
そのほか、企業の課題や方針に合わせて、ベルシステム24に所属する医療専門人材を活用した、各種受診勧奨や産業医紹介・派遣、生活習慣病予防セミナー、健康経営優良法人認定取得の支援など、様々なオプションメニューも用意されている。
今後両社は、産業保健の取り組みが十分ではない中堅・中小企業を中心に、同サービスを通して従業員の健康管理に関する課題解決を支援し、3年後までに300社の導入を目指す。
※ 労働安全衛生法:職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的として制定された法律。労働者の健康保持・増進のために事業者が行わなければならない措置が定められている。
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