NEC・東北大学病院・橋本市民病院、医療現場におけるLLM活用の有効性を実証

日本電気株式会社(以下、NEC)と東北大学病院は、生成AIにおける日本語大規模言語モデル(以下、LLM)を活用し、電子カルテなどの情報をもとに医療文書を自動作成する実証実験を実施した。

今回の実証では、NECが開発した医療テキスト分析AIを活用し、電子カルテに記録された患者の症状、検査結果、経過、処方などの情報を時系列に整理した。

そして、NECのLLMを活用し、治療経過の要約文章を自動で生成可能とした。生成された要約文章は、引用元である電子カルテの記載内容を関連付けて表示しているため、医師がエビデンスを効率的に確認することが可能であり、ハルシネーションと呼ばれる生成AIの正確性や信頼性の問題への対策にも対応している。

実証は、東北大学病院の一部の診療科の医師10名の協力のもとで実施された。その結果、紹介状や退院サマリなどに記載する要約文章を新規に作成する場合と比較して、作成時間を平均47%削減でき、文章の表現や正確性についても高い評価を受けた。

これにより医師は、電子カルテの記録から必要な情報を収集する作業を軽減することができ、生成された要約文章を参考にしながら各文書を効率的に作成できる可能性があることが確認された。

NEC・東北大学病院・橋本市民病院、医療現場におけるLLM活用の有効性を実証
実証実験の概要。LLMで電子カルテから医療文書を自動作成している。

また、NECと橋本市民病院も、同様の実証実験を、2023年10月から実施している。

NECの電子カルテシステム「MegaOak/iS(メガオーク/アイエス)」を使用している橋本市民病院は、以前から電子カルテの情報の匿名化についてNECなどと共同研究を行っている。

今回の実証では、匿名化された電子カルテの情報をクラウドセキュア接続サービス「MegaOak Cloud Gateway」を介してクラウド上のLLMに連携し、個人情報を学習させないように配慮しながら要約文章を生成している。

今後は、要約文章の精度向上に加え、退院サマリだけでなく長期間にわたる治療経過に関する要約文章の生成についても実証を行う。

また、電子カルテの画面上に新設した「LLM」のボタンをクリックすることで、要約文章を自動生成する機能も実装する予定だ。

NECは今後、LLMと音声認識を組み合わせた医療文章の作成支援や、LLMを活用した症状詳記などの医療文書の自動作成に関する実証も行うとしている。これらを踏まえ、LLMを活用した医療機関向けのソリューションを、2024年内に提供開始する予定だ。

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