近年、MRIで得られた脳画像ビッグデータの解析と臨床応用を推進する研究プロジェクトが、世界各国や国際共同研究で進められている。
一方、MRIで取得された生データを様々な解析目的に合わせた画像データに変換するには、膨大な前処理解析が必要で、これが大規模解析のネックとなっている。
そこでGMO学術サポート&テクノロジー株式会社は、富士通株式会社のクラウドサービス群「Fujitsu Computing as a Service」(以下、CaaS)上で、スーパーコンピュータ「富岳」の研究成果を実用化するサービスを2024年3月1日より提供開始した。
今回展開するサービスは、GMO学術サポート&テクノロジーが、「富岳」で研究開発したソフトやデータを「CaaS」上に実装し、研究者に対してハイパフォーマンスコンピューティング(以下、HPC)を活用した膨大な脳MRIデータの解析環境を提供するものだ。
従来は「富岳」の成果をサービスとして提供する環境がなかったため、「富岳」の成果が社会実装されるまでには多くの期間や工数を必要としていたのだという。
「CaaS」は「富岳」と同じCPU「A64FX」を採用しているため、「富岳」で利用していたソフトウェアやデータをそのまま利用することが可能だ。
今回提供開始した脳MRIデータの前処理については、事前に前処理済みのデータや利用環境を整備した上で提供するため、利用者はGMO学術サポート&テクノロジーが「CaaS」上に構築する解析環境にアクセスすることで利用できる。
GMO学術サポート&テクノロジーは今後、脳MRIデータ解析やAI自動診断をはじめとする各種アプリの開発者や研究者に向けた利用環境を構築するとしている。
また富士通は、このような取り組みに対し「CaaS」の提供を通じて、医療分野に加え、様々な産業や防災などの幅広い分野における「富岳」をはじめとするスーパーコンピュータを活用した研究開発成果の実用化を加速する計画だ。
理化学研究所のセンター長である松岡聡氏は、「富岳を活用した成果は、医療分野で大きなイノベーションを生み出す可能性があり、高速な計算能力により、膨大な医療データを解析し、疾患の発生機序や治療法の開発につながる新たな知見を得ることができる。」と述べている。
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