大腸内視鏡検査では、適切な前処置とその評価が必要だ。前処置とは、患者が大腸内視鏡検査前に腸管洗浄液(下剤)を服用し、腸内の便を排出することを指す。
しかし、看議師が患者の排便性状を確認し、検査可能な状態か判定する前処置では、看護師の業務負担や排便性状判定の不一致が課題だった。また、患者が自分で判定することに不安を感じることや、看護師に排泄物を見られることに心理的負担を感じることがあった。
そこで国立研究開発法人国立がん研究センターと株式会社Jmeesは、大腸内視鏡検査前処置時の排便性状をAIにより判定するアプリ「ナースコープ」を開発し、リリースした。
「ナースコープ」は、患者のスマートフォンで大腸内視鏡検査前処置時の排便を撮影すると、その排便性状をAIが自動で判定するアプリだ。判定結果は患者や看護師がすぐに確認でき、大腸内視鏡検査の参考にすることができる。
アプリの開発は2020年から行われていた。大腸内視鏡検査が行われる患者を対象とし、前処置のための腸管洗浄液服用後から大腸内視鏡検査直前までに撮影され、匿名化された排便画像を収集し、機械学習を行った。そして、排便性状を判定するAIモデルを構築し、アプリに実装した形だ。
また、アプリの検証を単施設で行ったところ、患者が「ナースコープ」を使用して前処置を行っても、大腸内視鏡検査の質を落とすことなく実施可能であることが示唆された。
現在、「ナースコープ」の汎用性を検証するために、日本国内で多施設共同の臨床試験を実施中だ。
今後は、国内の多くの施設で「ナースコープ」を使用し、患者と医療従事者の負担軽減につなげていく計画だ。
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