一般社団法人徳洲会(以下、徳洲会グループ)、国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科、リバーフィールド株式会社は、大阪府八尾市の八尾徳洲会総合病院において、低軌道衛星通信を用いた移動型遠隔手術システムの実証実験を2024年6月30日に実施したことを発表した。
この実証では、リバーフィールドが開発した手術支援ロボット「Saroa サージカルシステム」を配置し、実験を実施した。具体的には、「Saroa サージカルシステム」のサージョンコンソール(操作側)を八尾徳洲会総合病院の手術室内に配置し、ペイシェントカート(患者側)を屋外のトラック内に配置した。

低軌道衛星通信には、米国スペースX社が運営する衛星ブロードバンド「Starlink」のサービスを利用。また、接続のフレキシビリティを確保するため、クラウド上に中継用VPNサーバーを設置した。

実験には6名の外科医が参加し、通常のロボット手術構成と遠隔のロボット手術構成での比較を行った。臓器の弾力性を再現したトレーニング用モデルを用いて、縫合・結紮などの手技(傷口を縫い合わせたり、糸を結んで固定したりする作業)を実施した。
なお、「Saroa サージカルシステム」は、2023年5月に日本国内にて薬事承認を取得しているが、衛星通信や、その他通信を用いた地理的に離れた施設間での遠隔手術は、薬事承認範囲に含まれていないことより、今回の実証には実証専用機を用いたとのことだ。
実証の結果、実験に参加した医師6名全員から、遠隔のロボット手術構成においても、通常のロボット手術時と同様、縫合や結紮などの繊細な手技が可能であることが確認された。さらに、フルHD画質、4Mbpsの映像伝送に成功したほか、中継用VPNサーバにより、固定IPアドレスのない環境でも安定した接続性の確保が確認された。
この結果を受けて3者は、「本システムは、へき地・離島と都市部の医療格差の是正、災害時の迅速な医療支援、さらには国境を越えた医療支援活動や、あらゆる地域の医師らのトレーニングに幅広く活用できる可能性がある。」としている
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