国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は、2024年3月から共同研究を進めている「生成AIを活用した患者還元型・臨床指向型の循環システム(AI創薬プラットフォーム事業)」において、8月から乳がんの患者に対する「対話型疾患説明生成AI」の実運用を開始したことを発表した。
「対話型乳がん疾患説明生成AI」は、AIアバターと生成AIチャットボットを組み合わせた双方向型の会話システムだ。今回、乳腺・内分泌外科(乳腺)の外来初診患者向けに運用を開始した。
患者は、受診前にQRコードからwebブラウザにアクセスし、診療前の自由なタイミングで疾患の説明動画を視聴したり、疑問点をチャットボットへキーボードや音声で入力して生成AIと対話形式で質問したりすることで、疾患と治療に対する理解を深めることができる。
「対話型乳がん疾患説明生成AI」の導入により、説明と同意取得に要する時間の30%軽減を目指すという。また、乳がん診療の均てん化により、医療の地域格差是正を図ることが期待されている。
なお、対話型疾患説明生成AIシステムは、IBMのAIおよびデータのプラットフォームであるIBM watsonxでAI基盤を構築し、IBM watsonx.ai でサポートされている最新の大規模言語モデル(LLM)を活用しているとのことだ。
今後は、「対話型乳がん疾患説明生成AI」を利用した患者からの質問内容を詳細に分析し、さらなる精度向上を図っていくとしている。また、食道、胃、大腸などを取り扱う「消化管内科」でも、対話型疾患説明生成AIの運用を2025年1月から開始する予定だ。
そして2025年2月には、「問診生成AI」「看護音声入力生成AI」「書類作成・サマリー作成」の3つの生成AIシステムの展開を予定している。
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