心血管疾患患者にとって、適切な身体活動の管理が重要だ。そのためには運動量だけでなく、運動強度の評価も必要とされている。
これまでは、適切な運動の閾値の指標として嫌気性代謝閾値(AT)が用いられていたが、その測定には呼気ガス分析という特殊な機器と熟練した医療関係者が必要とされていた。しかし、これらの条件が整わない場合も多く、簡便かつ利便性の高いATの測定法の開発が求められていた。
こうした中、慶應義塾大学医学部スポーツ医学総合センターの勝俣良紀専任講師、佐藤和毅教授と、株式会社グレースイメージングの共同研究グループは、心疾患患者の心肺運動負荷試験中に汗乳酸センサを用いて汗中の乳酸値を連続モニタリングし、ATを推定することが可能かどうかを検証する医師主導治験を行った。
運動開始時は、発汗がないため、乳酸センサは反応しないが、発汗の開始後、乳酸が表皮から放出され、汗乳酸センサによって選択的に検出される。その後、運動の中盤以降で、汗の乳酸値の急激な上昇が観察され、症候限界の運動終了まで連続的に増加した。(トップ画)
その結果、汗中乳酸値の測定から得られた汗乳酸性代謝閾値(sLT)で AT を推定できることが示され、主要評価項目を達成し、有効性を確認した。また、汗乳酸センサを貼付することに関連した有害事象はなく、安全性も確認された。
共同研究グループは、引き続き同機器の医療機器製造販売承認を目指し、開発を進めていくとしている。
なお、この研究結果は2024年8月16日にScientific Reports誌にて発表された。
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