理研ジェネシスと日立、説明可能AIと生成AIの活用によりタンパク質定量解析サービスを高度化

近年、患者一人一人の体質や病状に合わせた個別化医療の実現に向け、治療の有効性や安全性を評価する生体内指標「バイオマーカ」を探索する研究が活発に行われている。しかし、患者の血液からタンパク質バイオマーカの候補を探す場合、一度に測定できるタンパク質の種類に制限があった。

そこで、オーリンクプロテオミクス株式会社のタンパク質定量解析「Olink Explore」を活用することで、多種多様なタンパク質が検出可能となる。ただし、必要な結果を抽出するためには、データクレンジングを丁寧に行い、長時間の作業が必要となっていた。

こうした中、株式会社理研ジェネシスと株式会社日立製作所(以下、日立)は、日立の説明可能なAI「B3」と生成AIを活用して、理研ジェネシスが受託している「Olink Explore」を高度化し、アカデミアや製薬会社向けに新たなサービスとして提供を開始した。

「Olink Explore」は、主に血清・血漿といった微量の検体に対し、多数のタンパク質(現時点で約3000種類)を網羅的に解析できる技術で、理研ジェネシスが国内外にサービス提供している。この技術は、微量の検体から数千種類のタンパク質を網羅的に解析できるため、創薬ターゲットの探索、臨床試験における患者層別化、市販後の臨床研究におけるバイオマーカ探索などでの活用が期待されている。

一方「B3」は、非線形な解析モデルをシンプルな線形モデルで表現することが可能なため、「AIがなぜその答えを出したのか」を人が解釈しやすく、医療や創薬の現場での意思決定に有効なAIだ。また、独自の次元圧縮・過学習抑制の機構を組み込んでおり、検体数が少ない研究においても精度を保った解析が可能な点が特徴だ。

今回新たに発表されたサービスは、「Olink Explore」の膨大なアウトプット情報に、「B3」や生成AIを活用した解析を組み合わせるもので、薬剤の効果や疾患発症のメカニズム解明、および新規タンパク質バイオマーカ(生理学的指標)の探索を迅速化する。

理研ジェネシスと日立、説明可能AIと生成AIの活用によりタンパク質定量解析サービスを高度化
理研ジェネシスと日立による「Olink Explore」サービス高度化の概念図

加えて、臨床現場において、病態生理が複雑な疾患、不均一性が高い疾患などに対する予測性能を高めるための、複数因子を組み合わせたバイオマーカ(マルチバイオマーカ)の探索にも対応している。

また、生成AIを活用して、エンリッチメント解析で得られた遺伝子機能に関する文献を調査し、グラフ・表・要約をまとめたレポート資料を作成・付録する。

今後は、一般的な血液検査の項目や遺伝子など、タンパク質以外のさまざまな物質データを組み合わせて統合的に解析すること(マルチオミックス解析)も可能になる予定だ。

なお、両社は2024年3月~5月に、「Olink Explore」のアウトプット情報を「B3」や生成AIで解析するPoCを実施し、疾患と遺伝子・たんぱく質の相互作用の情報が従来よりも迅速に入手・検索可能になることを確認したとのことだ。

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