西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)と国立大学法人三重大学は、2024年11月1日に産学連携に関する包括連携協定を締結し、三重大学医学部附属病院(以下、三重大病院)において、NTT版大規模言語モデル(以下、LLM)「tsuzumi」を活用した電子カルテの要約による、医師の事務作業の効率化に関する実証実験を開始する。
医師の業務のひとつとして、書類作成業務があげられる。例えば、入院期間中の治療経過をまとめた「退院サマリ」の作成については、1つ作成するのに30分程度要するケースもあり、多くの医療機関に共通する恒常的な業務効率化の課題だ。
これを解決するためには、文章の生成に能力を発揮するLLMを活用した書類作成の補助が有効であると考えられている。
そこで今回の実証実証では、「退院サマリ」の作成過程において、「tsuzumi」が生成した電子カルテの要約文章を活用することで、作成業務が効率化できるかを検証する。
「tsuzumi」は、Open AI「GPT-3」が1,750億のパラメータサイズであるのに対し、70億と軽量な点が特徴だ。そのため、医療機関のネットワーク内に動作環境を置き、情報を外部へ出さない機密性の高いLLMシステムを構築することができる。
今回、「tsuzumi」を三重大病院内のネットワーク内に構築することで、患者の個人情報を外部へ伝送することなく、機密性の高い環境で電子カルテを要約する。
医師は、電子カルテデータを基に医師自らが文章を作成するのではなく、「tsuzumi」が生成した文章を医師が確認・修正する。
また、退院サマリの作成に特化したLLMを構築するための追加学習を実施し、医療業界の専門用語が含まれる電子カルテの要約精度の向上に取り組む。
今後NTT西日本と三重大学は、実証の効果を評価し、その結果を基に退院サマリの作成業務への本格的な「tsuzumi」の適用を進めるとともに、その他の事務作業への適用や、三重県下における他の医療機関への展開を検討していくとしている。
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