株式会社日立システムズは、声から心の健康状態の変化を捉え、うつ病をはじめとするメンタル疾患の予防や未病の早期発見に寄与するクラウド型のサービス「音声こころ分析サービス(※1)」を本日6月27日より販売開始した。
同サービスは、販売開始に先立ち、神奈川県で試行導入されたほか、さまざまな民間企業でも働き方改革ならびに生産性向上を図る目的で実証実験がなされており、その中で挙げられた要望を踏まえて機能を強化しているという。
また、本年7月以降はIoTを活用した健康経営の推進のために自社内で同サービスの利用を開始するほか、鎌倉市においても職員の健康サポートの一環として試行導入する予定としている。さらに、一般内科・心療内科・精神科が専門の新六本木クリニックにおいては、医師が患者の日々の心の健康状態を把握するための支援ツールとして正式導入されることが決定しているという。
近年、生活習慣病やメンタル疾患の増加、高齢化などにより、医療・健康を取り巻く環境は大きく変化し、健康管理は社会的な課題となっている。中でもうつ病などの気分障害(感情障害)の総患者数は約112万人(※2)に達するなど、15年前と比較して2.5倍と著しく増加しており、休職などによる経済的損失も生み出しているという。
企業や団体は、健康診断やストレスチェックなどを通じて、メンタル疾患の可能性がある従業員の早期発見に努めている。しかし、自記式によるストレスチェックや問診・面談だけでは曖昧な回答や実態と異なる回答をすることも可能であることから、本人の意図に左右されずに手軽に心の健康状態をチェックでき、メンタル疾患の予防や早期発見に寄与する仕組みが求められている。
こうした背景から、日立システムズは「音声こころ分析サービス」を開発し、販売開始した。同サービスは、スマートフォンや固定電話、携帯電話などから録音した音声データから声帯の変化(不随意反応)を分析して心の健康状態を数値化し、約15秒で分析結果をPCやスマートフォンに表示。
このように、心の健康状態を客観的かつ手軽に見える化することによって、利用者に“こころの不調”の自覚と早期対策を促すという。また、分析結果は利用者本人だけでなく、管理者も参照可能なため、メンタル疾患者およびその予兆が見られる利用者の早期発見を支援し、社会課題となっているメンタルヘルス対策に寄与するとしている。
スマートフォンで利用する場合は、同サービス契約後、アプリケーションをダウンロードし、付与されたユーザーIDとパスワードさえ入力すれば、すぐに利用を開始することができるため、管理者に負荷をかけることなく、手軽に導入することが可能。
一方、医療機関が同サービスを活用する場合、医師は診察や問診で得た情報以外に、患者の心の健康状態を数値化された情報として得られるようになるほか、前回の診察からの傾向を把握する補助的な支援ツールとしても活用することができるという。今後は、医療資源を効果的・効率的に活用し、受診者の負荷軽減につなげるために拡大が見込まれる遠隔医療の分野での活用も期待されている。
なお、今回の販売開始に先立ち行われた試行導入等においては、利用者のアンケートから「毎日実施することによって健康に対する意識や行動に変化が生じたことを自覚した」といった回答を得た。また、日頃からお互いの心の状態を気軽に伝えあうことによってコミュニケーションが活性化されたといった効果があったとしている。
月額費用:1ID あたり 300 円~
※100IDから導入可能
※別途、初期費用が必要


元気圧では発話時点の心の元気さを、活量値では長期的な心の元気さの傾向(上昇・安定・下降)を捉えることができる。

管理者が大勢の利用者をモニターする場合のサポート機能を搭載。条件に合致した社員がいると、自動
的にアラートを表示したり、情報をメールで送信することができる。
※1 「音声こころ分析サービス」の分析には、PST 株式会社が開発した、声帯の変化(不随意反応)を解析して心の健康状態を「見える化」する未病音声分析技術「MIMOSYS(ミモシス:Mind Monitoring System)」を利用。同技術は、東京大学大学院医学系研究科 音声病態分析学 特任准教授の徳野先生によって医学的に検証されている。日常発する声から客観的かつ手軽に心の健康状態をチェックすることができ、言葉の違いに依存しないことが多くの言語で確認されている。また、「MIMOSYS」は、神奈川県が未病産業関連の優れた商品・サービスを認定する制度「ME-BYO BRAND」に認定されているという。
※2 2015 年12月厚生労働省発表
【関連リンク】
・日立システムズ(Hitachi Systems)
・音声こころ分析サービス
・PST
・東京大学医学系研究科・医学部(m.u-tokyo)
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