第5回先端デジタルテクノロジー展が4月3日〜5日まで東京ビッグサイトにて開催された。会場には、VR、AR、MR、HMD、高臨場感映像・音響、インタラクティブ技術、ロボット、体感システム・先端素材・デバイスなどを扱う企業が出展をしていた。
東北新社グループは、「TRUE MEMORY」という「終活×デジタル」をテーマにしたコンテンツを打ち出していた。TRUE MEMORYは、VRやARといった技術を使っているわけではない。しかも、このコンテンツの表現は二次元の映像であった。しかし私は、思い出を残したいというとても人間的な心情と、デジタルを掛け合わせるという考え方に興味を惹かれた。
このサービスは、終活をしているご年配の方が、生前に残しておきたい思い出を予め自ら映像化したり、急に亡くなられてしまった親族の方が、思い出の品を整理する際、映像として残しておける、というサービスだ。
映像コンテンツを作るにあたって、東北新社グループの現在の構想は、TRUE MEMORYの担当者が顧客の家に行き360度カメラで家をスキャンする。そして何が思い出の品なのかヒアリングをする。その中でも特に思い出のエピソードがある部屋や物などがあれば、思い出を語ってもらい動画をつくる。思い出が紙モノであればスキャンをする。
360度カメラで撮った映像コンテンツの中の思い出の品をタッチすると、動画が流れたり、画像がポップアップする仕組みだ。
例えば、顧客が毎年作っているおせちのレシピがあり、そのレシピをしまっている棚があるとする。その棚にクリックできる処理を行い、レシピをスキャンしておく。そうすれば、戸棚をクリックするとレシピがポップアップする。さらに音声を録音しておくことで、レシピがポップアップした際に、作り方や思い出を語ってくれる。
TRUE MEMORYを作り上げる手法は、360度カメラで家をスキャンしたり、人がヒアリングするというシンプルなものだ。しかし、「思い出」を整理して映像化することで、物理的に家や物が残っている状況よりも、より深く情報を見ることができるようになると感じた。
今回のプロトタイプでは、個人の情報を担当者が深くヒヤリングして構築している。今後は、これを簡素化し、誰でも使えるプラットフォームに落とし込むことも考えているという。
さらに、個人の情報だけでなく、「災害時の被災地の状況」や「シリアの難民の状況」といった、社会として残しておくべきものを映像化していく、という構想もあるということだ。
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