スマートグラスとは、メガネ型のデバイスに、カメラやセンサーなどを搭載させて、インターネットに繋げることで、視覚的に情報を映し出したり、操作することができるという端末だ。
使われる用途としては主に工場などでのメンテナンス、教育現場などBtoB向けに用いられており、作業を進める際にどのような手順で行うのかをメガネのディスプレイに映し出し、オペレーションを行うといったものだ。
一方コンシューマー向けでの利用も期待されている。
シードプランニングの調査によると、2016年ごろからVR市場がエンターテインメント分野で大きく成長しており、さらにARのスマートグラスも2017年ごろから業務用市場で実ビジネス化する事業者が増えている。
そして2020年以降はARスマートグラスのコンシューマー市場への浸透も期待され、2017年から2025年までで、年平均32.3%の成長率で拡大すると予測されているという。
そこで今回は、コンシューマー向けのスマートグラスの活用事例を紹介する。
キーワードは「軽量」「ズレない」
公益財団法人堺市文化振興財団が管理運営する堺市民芸術文化ホール、フェニーチェ堺は、2019年10月のグランドオープンに向けて、「人間浄瑠璃 文楽」公演の字幕機能として、スマートグラスの導入を検討していた。

しかし実使用においては重さやバランスの悪さから、観劇に集中できない、耳への負担が大きいなどの課題を残していた。
そこで注目されたのが山本光学の「軽量」「ズレない」という特徴を持った「Versatile(バーサタイル)」だ。
必要な機能を搭載したシンプルな設計で、ユーザーが開発したアプリケーションソフトを搭載できるようにしていたため、今回もZimakuプラスが提供する字幕サービス、「Zimaku air」を搭載している。
劇場内の無線通信を活用しスマートグラスなどの端末を通じて字幕表示をさせており、4ヶ国語の字幕表示に対応、提供を予定しているという。
場所を選ばずスクリーンを投影
次に紹介するのは、エプソンが発売しているスマートグラスMOVERIO「BT-30C」だ。

スマートグラスをAlternate Modeに対応したAndroid搭載スマートフォンにUSB Type-Cでつなぎ、スマホのコンテンツを大画面で楽しむというものだ。
周囲が見えるため、例えば飲食をしながらでも映画鑑賞を行えるといった利点がある。
場所を選ばないというメリットもあり、屋外、移動中、宿泊先などあらゆる場所で映像を観ることができ、姿勢を変えても観られるため、寝転がっての使用も想定しているという。
買い物をスマートに
そして最後に紹介するのは、中国のスタートアップnrealが提供している「nreal light」というスマートグラスだ。
主にMR(複合現実)向けのスマートグラスで、形状はサングラスに似ており、約88グラムと軽量だ。
機能としてはSLAMおよびコンピュータービジョンアルゴリズムを内蔵しているため、視界内の対象物の分析、認識、理解をすることが可能。
また、読み込み時間を最小限に抑えて、滑らかな視覚体験を実現している。
そしてサードパーティー拡張機能では、nreal lightのセンサーから生データにアクセスすることにより、新しい機能を備えたMR/ARアプリケーションを設計することができる。
nrealはKDDIと日本展開を推進するためにパートナーシップを締結しており、第一弾の実証実験パートナーとして、メルカリが参画することを2019年6月に発表している。
メルカリは今年の5月にスマートグラス向けアプリのベータ版「mercari lens」(メルカリレンズ)の一般配信を開始しており、アメリカで開催されたAR+VR展示会「AWE USA 2019」に出展している。
今回はこのmercari lensをnreal lightに対応させ、レンズ越しに見た日用品などを指で指し示すと、メルカリの出品物から類似した商品を検索したり、価格などの詳しい情報を表示させることができるというものだ。
現在開発段階とのことで、実用化されるのが楽しみだ。
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