インターネットオークションやフリマサービスでの商品画像は、落札や購入を検討するユーザーにとって重要な情報である。インターネットオークションサービス「ヤフオク!」ではこれまで、スニーカーやフィギュア、家具などの商品の特徴を、より分かりやすく紹介したいという出品者の声や、商品をさまざまな角度から見て入札を検討したいという落札者の声があった。
ヤフー株式会社(以下、Yahoo! JAPAN)は、コンピュータによる視覚の実現を研究する分野であるコンピュータビジョンの技術やスマートフォンのOS各社が提供するAR技術のフレームワークを活用し、立体的な商品を多視点で撮影できる「マルチビュー機能」を開発し、インターネットオークションサービス「ヤフオク!」アプリ(iOS版、Android版)にて提供を開始した。
同機能は、ARアプリ開発フレームワークであるAppleのARKit(iOS)とGoogleのARCore(Android)を応用し、カメラの位置と向きを推定、3Dモデルを用いた撮影アシストを実現する。ターンテーブルや専用カメラなど特殊な機材を使用せず、容易に多視点の画像を撮影できる。
また、本来、多視点の画像の生成にはカメラキャリブレーション(※1)という技術が必要となり膨大な手間と計算リソースがかかるが、ARアプリ開発フレームワークを用いることでコスト削減を実現した。さらに、スマートフォン搭載のGPU(※2)を活用し、CPU(※3)のみの処理と比較して、多視点の画像を生成するまでの時間を約400分の1に短縮した。
これにより、出品者はヤフオク!アプリ上のガイドに沿って、簡単に商品のマルチビュー画像を撮影し出品画像として掲載できる。さまざまな角度から商品の特徴や状態を伝えられるため、入札検討者が商品理解を深められることが期待できる。入札検討者は、マルチビュー画像をスワイプすることで左右に回転させながら商品の特徴や状態を把握でき、より安心して入札できる。
※1 カメラキャリブレーション:カメラの位置や向きを画像から推定する技術
※2 GPU:3Dグラフィックスなどの画像描写に必要な演算処理を行う装置
※3 CPU:CPUがコンピュータの主力の処理を行う中心的な演算処理装置であるのに対し、GPUは画像処理に特化した演算処理装置
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