キヤノン株式会社は、現実映像とCGをリアルタイムに融合するMR(Mixed Reality:複合現実)システム「MREAL」シリーズの新製品として、初のエントリーモデルとなるヘッドマウントディスプレイ「MREAL S1」を2021年2月下旬に発売する。詳しい特長は以下の通り。
- 小型・軽量化と装着性の向上
- ポータビリティーの向上により多様なビジネスの現場での利用が可能
- ユーザーに適したサービスを提供するソフトウエア
- 充実したアクセサリー
MREALは、ビデオシースルー型(※1)ヘッドマウントディスプレイを装着し、現実空間にあたかもそこに在るかのように3D CGを表示するMRシステムである。MREAL S1は、MREALシリーズ最小・最軽量となる、大きさ約186(幅)×250(奥行)×138(高さ)mm、質量約338g(ヘッドマウントユニット含む、ディスプレイ部のみの質量は約137g)を実現したことにより、使用時の負担を軽減し快適な装着感を実現する。
また、人間工学に基づき設計したヘッドマウントユニットは、頭を傾けるような体勢でも安定して快適に使用でき、着脱や調整も容易とのことだ。さらに、フリップアップ機構の搭載により、ヘッドマウントディスプレイを装着した状態から素早く目視に切り替えることができる。
周囲の静止物から特徴点を抽出し、自身の位置座標を推定する空間特徴位置合わせ技術の進化により、床や窓ガラスからの反射により生じる位置合わせ誤差を軽減し、多様な現場での高精度な位置合わせを実現した。上位機種同様、別売りの位置合わせ用光学センサーが常設されていない場所や設置が困難な屋外でも使用でき、機材準備時間も削減可能だ。
空間特徴位置合わせに使用するカメラの画角は水平方向に約76°、垂直方向に約103°を実現している。広範囲から特徴点を抽出し、ユーザーの位置とCGを表示する位置を特定することで、安定したCG表示が可能だ。
また、モバイルワークステーション(※2)との組み合わせでシステム総重量を軽量化し、さまざまな現場への持ち運びが可能となる。実際の建設予定地でCGを合成して完成後の姿を関係者間で共有することや、工場内で製造ラインにCGを重ねて作業性や動線を体験することができる。
さらに、会議室でのプレゼンテーションや製品レビューで活用するニーズにも対応しており、現場で実寸大のCGを確認することでコミュニケーションの効率化や合意形成の時間短縮、試作回数を減らすことによるコスト削減に貢献する。
位置合わせの設定等を行う基盤ソフトウエア「MREAL Platform」にシンプルなユーザーインターフェースを採用している。エントリーユーザでも直感的に操作が可能だという。また、用途に応じたソフトウエアをユーザーが選択することができ、導入コストの低減に寄与する。
展示会などで手軽に体験する際に便利なハンドヘルドスタイル(別売り)での利用も可能で、ユーザーの用途に適した柔軟に活用できる。さらに、インターフェイスボックスキット(別売り)を経由することで、ThunderboltTM3に対応するPCとの接続も可能なうえ、インターフェイスボードキットセット(別売り)の使用によりThunderboltTM3未対応のPCとも接続可能だ。
そのほか、20mのインターフェイスケーブル(別売り)により、使用可能なエリアの拡大や天井配線にも対応しており、減光フィルターシート(20枚同梱)により屋外の明るい環境でも空間特徴位置合わせが可能とのことだ。
※1 ビデオシースルー型:ヘッドマウントディスプレイに内蔵されたカメラのCMOSセンサーが捉えた目の前の映像(現実映像)と仮想空間の3D CG(仮想映像)をコンピューターでリアルタイムに合成し、ヘッドマウントディスプレイに表示する方式。
※2 モバイルワークステーション:高い処理能力を備え、複雑で高度な処理を安定して行うノート型コンピューター。
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