昨今、人口減少に伴う労働力の減少や高齢化に伴う次世代への確実な技術の継承などの課題に対応するために、デジタルソリューションの推進に注目が集まっている。電力業界においては、発電所や変電所などの電力設備の操作に対する安全と信頼性の確保が求められ、デジタル技術に対する期待は高まっている。
株式会社プレミアムアーツとPTCジャパン株式会社(以下、PTC)は、両社が保有するARの技術を用いた電力設備の操作支援に関する検証を、中部電力株式会社の送配電事業会社である中部電力パワーグリッド株式会社の変電所で実施した。
具体的には、同ARの表示精度や設備間の移動に対する操作者誘導機能の精度の確認を目的として、実操作を元に作成した操作手順を事前に読み込ませてARとしてiPadへ表示することにより、操作対象ボタンの明示、手順どおりの操作対象表示および対象設備への確実なルート表示を確認した。検証の結果、同ARを活用した操作支援が電力設備の操作に対する安全と信頼性の確保に寄与できる可能性があると評価した。
同ARには、PTCのAR開発プラットフォームであるVuforia Engineに、空間コンピューティングの機能を採用した技術であるVuforia Engine Area Targetsを活用した。Vuforia Engine Area Targetsは、変電所の施設内の360度デジタルデータを構築し、施設内のあらゆる空間上で指定箇所を認識できるARコンテンツの作成を可能にする。
Vuforia Engine Area Targetsで作成したARデータの作業手順を確認することで、施設内の装置の設置位置、利用環境を十分に把握しながら、保全が必要な変圧器や制御機器などの細かく複雑なオペレーションや点検作業を正確に行うことができる。
また、デジタル化されたARデータは紙のマニュアルのように劣化させずに保管でき、タブレット上のデータを一つ一つ追うことで、操作者の習熟度によって偏りが生じることなく、信頼性の高い操作体制を提供できるとしている。
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