株式会社デザイニウムと一般社団法人関西イノベーションセンターは、不動産総合デベロッパーである三菱地所株式会社と共に、複数の大型商業施設において、各施設の運営事業者向けに、カメラの画像情報を用いて位置を特定する技術である「VPS」を利用したAR技術活用に関する実証実験を実施した。
今回の実証実験は、関西イノベーションセンターが運営するイノベーション創出拠点MUIC Kansaiの会員企業を含む事業会社の協力を得て、施設の運営事業者視点での課題と展望を検証した。
協力施設はグランフロント大阪となんばパークスで、各施設を運営している事業会社の関係者のみの限定公開の下、実施された。
使用されたVPSは、検証目的に応じてNianticの「Lightship VPS」と「Immersal」の2つから選定されている。
ARグラス「Nreal Light」を活用した実証では、「Nreal Light」に対応可能な「Immersal」を使用し、広告用の3Dエフェクトを投影。スマートフォンとARグラスのそれぞれのデバイスで、視聴する際の視認性・明視性の違いなどを検証した。
「Lightship VPS」を活用した実証では、施設内にARコンテンツを投影させ、広告利用などに活用したいと考える事業者と建物の運営管理者が取引を行うケースを想定。任意の広告画像をWebページにアップデートすることで、指定の場所に投影させるツールを実証用に開発した。
また、「Lightship VPS」では、事前にスキャンしたマップ上のアンカーの姿勢情報を取得し、相対的な位置でARコンテンツを投影させる為、投影させるコンテンツの現実空間との整合性、および移動時の安定性などを検証した。
今回の実証実験を実施した結果、ARを活用した施設の集客力の向上について期待する声が多い一方、利用者の安全性の確保など、前提として充足すべき条件についても多数挙げられ、それらを踏まえた環境下での活用促進や社会実装について、検討していく予定だ。
また、投影させるコンテンツについて、事業者側が意図しないコンテンツが自由に投影される事に対する懸念も強く、施設運営の妨げにならない形でのAR技術拡大につき、業界団体が作成するガイドライン等も参考にしながら、運用面でのルール形成を進めていくとしている。
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