自然災害や地質の経年変化による地盤変動は、状況によってはプラント・施設に損害を与え、火災や化学物質の拡散といった災害に繋がる危険性がある。
このため、一部の自治体は、プラントや施設の事業者に対して定期的な地盤沈下度の報告を義務付けており、事業者は地盤の変動による構造物の歪みを確認するために、地上における測量情報をベースに検査・報告を実施してきた。
こうした中、日揮ホールディングス株式会社は、日揮株式会社の子会社であるブラウンリバース株式会社と株式会社スペースシフトが、ブラウンリバースが提供する3Dビューア「INTEGNANCE VR」への衛星データの活用について、共同検討を開始したことを発表した。
ブラウンリバースと連携するスペースシフトは、合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)衛星データ解析技術を持ち、人工衛星から得られる観測データから、ミリ単位での地盤変位量解析を行うサービス「SqueeSAR」を提供している。

今回、ブラウンリバースが提供している既設プラントを、仮想空間上に再現する「INTEGNANCE VR」とスペースシフトの「SqueeSAR」を連携させることによって、「INTEGNANCE VR」上に衛星からの地表面の沈降隆起を表示することを目指し、このデータ連携に向けた共同検討を開始した形だ。
両サービスが連携することにより、これまで数週間かけて確認していた構造物の歪みを数日で確認できるようになり、災害に備えるべき箇所やメンテナンスが必要な箇所が直感的に把握できるようになるのだという。

加えて、地表面の変動履歴を「INTEGNANCE VR」上に蓄積することで、地盤沈下による影響度の範囲を「INTEGNANCE VR」上でシミュレーションすることも可能となり、予測に基づいた想定災害シナリオの作成や防災訓練などに活用できる可能性があると考えられている。
今後、スペースシフトの地盤変位量解析サービスを取り込んだ「INTEGNANCE VR」の追加機能は、共同検討およびブラウンリバースの顧客ニーズを取り込みながら、早期の提供開始に向けて開発を進めていく計画だ。
またブラウンリバースは、今回の共同検討をはじめとしたデジタルツインサービスの提供を目指し、「INTEGNANCE VR」のさらなる機能の拡充を行っていくとしている。
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