株式会社電通ライブと株式会社バスキュールは、従来の「視覚」に依存する拡張現実:ARに対して、「聴覚」に依拠した拡張現実を「音声AR」と定義し、その体験システム「音声ARシステム(※特許出願中)」を共同開発したと発表した。
「音声AR」について
「音声AR」とは、スマートフォンやタブレット等で動作する専用アプリケーションのバックエンドシステムの総称であり、「現実世界に新たな音声情報を付与する」をコンセプトに、GPSやBeacon等の技術を用いて位置情報を検知し、任意の特定条件を満たしている使用者に対して、自動的かつリアルタイムに音声情報や音声情報と連動したデバイス画面演出を提供するものだという。
同システムでは、ユーザーの使用言語やプロフィールなど静的情報に基づいたカスタマイズはもちろん、NFC・ジャイロセンサ・コンパス・加速度センサ等、ユーザーのリアルタイムなアクションや会場全体の動向に対応した動的カスタマイズも可能にするという。
自動的にパーソナライズされた情報を、複数人に対して同時配信することで、人々に新しいライブエンターテインメントを提供していくということだ。
またバックエンドシステムとしては、使用者一人ひとりの行動ログをリアルタイムに管理・集約することができるため、混雑状況等のヒートマップ化や動線可視化、個別エリアにおける滞在時間把握などが可能となる。
現実世界に新たな音のレイヤーを重ねることで豊かなユーザー体験を提供するとともに、これまでブラックボックスになっていたイベント・スペース領域のデータ管理・分析を実現する。
「AR:拡張現実」は『見る』から『聞く』へ
これまでのARは実在する風景にバーチャルな視覚情報を重複表示するといった「視覚=デバイス画面」に依存する取組だった。しかし、「聴覚」に依拠する音声ARでは、デバイス画面は必ずしも必要ではなくなるため、ユーザーをデバイス画面から解放するハンズフリーの新しい体験価値を提供することが可能になる。
2020年に向けて来日観光客が激増する中、観光案内所やデジタルサイネージの設置など大規模なインフラ整備をすることなく、ユーザーの視覚を塞がずに最適な言語で、的確な情報を提供する新しい形のナビゲーションツールとしての活用をはじめ、スポーツ観戦やAIスピーカー、自動運転車両といった幅広い場面での導入が期待されている。
【関連リンク】
・電通ライブ(DENTSU LIVE)
・バスキュール(Bascule)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。