トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社が開発した「DFree Personal(ディー・フリー・パーソナル)」は、小型の超音波センサーを用いたIoTウェアラブルデバイスで、下腹部に装着することで膀胱の変化を捉え、スマートフォンやタブレット上の専用アプリで排泄のタイミングを知らせる。DFree本体と携帯端末は直接Bluetooth通信にて連携するため、外出先でも利用が可能である。
これにより、従来の排泄ケアでは困難であった、被介護者に合わせたパーソナライズケアをサポートすることで、被介護者のQOL向上と介護者の負担軽減を実現するという。
今回、トリプル・ダブリュー・ジャパンは、北海道苫小牧市が主催する「苫小牧市イノベーションマッチング実証事業(2018年度)」に参画し、一般社団法人りあんに通う障がいを持つ児童3名にDFree Personalを利用したトイレトレーニングを行った。
同実証事業では、まずトリプル・ダブリュー・ジャパンのスタッフがりあんの職員や保護者に対しDFree Personalの使用方法やトイレトレーニングの進め方についてアドバイスを行う。次に、職員や保護者が日常生活の中でDFree Personalの数値を確認し、尿が溜まったタイミングで児童をトイレに誘導するなどのトイレトレーニングの実践を進めた。
そして、尿意が分からない・尿意の意思表示ができないためにトイレで排泄ができない障がいのある児童3名にDFree Personalを装着してもらい、トイレトレーニングが効果的に進められるかを確認した。装着期間は人により異なるが、最長で2018年10月~2019年2月の5か月、りあんの放課後デイ通所時と自宅で検証した。
その結果、3名のうち2名が、トイレでの自力排泄に向けた良い傾向が見られ、支援者側の意識も変わるなど、DFree Personalを障がい児童のトイレトレーニングに活用できる可能性が確認できた。結果内容は、以下の通りである。
- Aさん(小学3年/重度の自閉症で、意思疎通が難しい)
- Bさん(小学4年/低酸素脳症で肢体が不自由、知的障がい有り)
- Cさん(小学2年/筋ジストロフィーで、知的障がい有り)
普段はオムツに排尿しており、尿意も感じていない様子だったが、DFreeのメーターが8になったときにトイレに連れていくと、トイレで尿が少し出るようになり、トイレのサインらしき仕草に支援者が気づくようになった。
指さしでの意思疎通が可能なBさんは、メーターが4~5になるとトイレに連れて行ったところ、1日あたり2.5回トイレで排尿できるようなり、おもらし率も低下した。
メーターが上がったときに本人が数字を見てトイレに行き、成功することもあったが、メーターの数値と本人の感覚にずれがあり、数値が高い時もトイレで出ないことがあった。次第にすれ違いが多くなりトレーニングが嫌になって、徐々にDFreeを装着しなくなってしまった。
今後は、利用事例を増やしながら、DFreeを使ったトイレトレーニングの方法のとりまとめや対象者への啓発を強化していく。
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