フェンシング競技は、日本人選手の国際大会での活躍などもあり、認知度が飛躍的に向上している。一方、学校教育やスポーツ施設、企業や地域などで、人々がフェンシングを体験する機会がほとんどないこともあり、日本の競技人口は約6,000人という状況だという。
フェンシングの普及に向けて、手軽に体験できる機会を増やし、競技の楽しさを伝えていくことが求められているが、初心者には使用する道具の危険性、難易度が高く、特殊な装備が必要になる等の課題がある。
大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、フェンシング競技を誰でも簡単・安全に楽しめるツール「スマートフェンシング」を開発し、サービスを開始した。
スマートフェンシングの利用者は、柔軟性のある剣と導電性のあるジャケットを使用して、実際のフェンシングの疑似体験をすることができる。剣にはセンサーを内蔵しており、導電性のあるジャケットに剣の先端が当たることで、センサーが反応して得点が入る仕組みだ。柔軟性のある剣を使用するため、年齢や経験等に関係なく安全に利用が可能で、パラスポーツである「車いすフェンシング」の疑似体験用にも使用できる。
また、通常のフェンシングは、1対1の対戦だが、スマートフェンシングは複数の対戦も可能である。加えて、通常のフェンシングは、剣と審判機が繋がっているが、今後ワイヤレスに対応する予定だという。得点情報は通信を介して、スマートフォンやタブレット端末に送られるため、審判機が不要となり、場所を限定せずに体験できる。
スマートフェンシングのプロトタイプ版では、公益社団法人日本フェンシング協会が主催するイベントや国際大会のほか、千葉県で実施された「県民の日ちばワクワクフェスタ2019」や「フェンシング学校訪問プロジェクト」などに提供しており、約11,000人が体験したという。
今後DNPは、スマートフェンシングのコンセプトを広めていくための協会の設立を予定しており、スマートフェンシングを競技体験だけでなく教育や健康、エンターテイメントなど様々な用途へ展開し、デジタルコンテンツの活用やツールの販売を行う。さらに、スマートフェンシングを顧客や地域住民とのコミュニケーションを深めていきたい企業や自治体向けに、スポーツイベントのサービスとして提供していく。
また、フェンシングだけに限らず様々な競技に展開していくとともに、DNPが行っているスポーツビジネスと組み合わせ、2022年までに累計で10億円の売上を目指す。
なお、ツール・機材のレンタル費用は10万円からで、ツール・機材・運営スタッフのイベント運営費用は30万円からである。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。