日立と丸紅など、準天頂衛星システム「みちびき」を活用した植林管理の実証実験を開始

丸紅株式会社は、子会社のPT. Musi Hutan Persada(以下、MHP)を通じて、インドネシア国南スマトラ州にある約30万ヘクタールの土地にて植林事業権を所有している。ここでは、場所により降雨量や土壌環境が異なり、植栽や除草のタイミングなどによって樹木の成長度合いが変化する。

MHPはこのような状況の中で、製紙パルプ工場への原料を安定的に供給するために、毎年数か月掛けて、営林システムで抽出した約1万か所の調査地点において、人の目によるマニュアル作業でサンプル調査を行い、植林の成長量・収穫量を予測し、伐採計画を立案しなければならない。

そこで、株式会社日立ソリューションズは、総務省から準天頂衛星システム「みちびき」を使用した技術実証を請け負い、丸紅、株式会社日立製作所(以下、日立)と共に、低緯度地域であるインドネシアの植林地の一部を対象に、測位技術の適用可能性に関する実証実験を2019年9月から2か月間、実施する。

今回、日立の持つ測位技術と日立ソリューションズが持つソリューション「GeoMation(※)」を活用して樹高(樹木の背丈)を測定する。同実証実験の内容と担当企業は以下の通り。

  1. MHPが、光学カメラを搭載したUAV(無人航空機)で、みちびきから受信した位置と高さの信号(以下、L6E)と航空映像データを取得する。
  2. MHPと日立ソリューションズが、L6Eと航空映像データを地理情報システムで分析し、ユーカリの樹頂標高データ「Digital Surface Model(以下、DSM)」を作成する。
  3. MHPが、樹高のサンプルとなるユーカリを伐採する。
  4. MHPが、測位システムを搭載したトラクタを走行させ、みちびきから受信したL6Eを取得する。
  5. 日立ソリューションズが、トラクタから取得したL6Eと走行軌跡から地面標高データ「Digital Elevation Model」(以下、DEM)を作成する。
  6. 日立ソリューションズが、DSMとDEMの差からユーカリの樹高を推定する。
  7. MHPと日立ソリューションズが、実際に伐採したユーカリの樹高と推定した樹高を検証する。

これにより、樹高の測定精度の向上を図り、伐採計画立案の効率化やオペレーションの最適化をめざす。

また、同実証実験では低緯度地域において電離層等が測位精度に与える影響も検証する。これまで日立グループは、高緯度のオセアニア地域において、みちびきによる測位への影響を検証しており、同実証実験で低緯度地域もカバーすることで、みちびきの全軌道上における測位の安定性に貢献していく。

※ 空間・位置情報を統合的に分析・可視化し、社会インフラや農業、製造業、流通業などにおいて、現場から経営・マーケティングにいたる課題の解決を推進するソリューション。

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