日本電気株式会社(以下、NEC)と日本航空株式会社(以下、JAL)は、JALの空港業務効率化に向けて、羽田空港(東京国際空港)の屋内外においてIoTの有効性を検証する実証実験を、2019年7月~8月に実施した。同実験では、空港特有の条件に対応しながら、屋外では空港内を移動する荷物コンテナ運搬車の位置把握を、屋内では格納庫における整備士の動線把握をユースケースとした。
今回、NECはネットワークに関する知見や技術を活かしてコンサルティングを行い、IoTを実現する多種多様な通信手段(マルチコネクティビティ(※1))のアセットからLoRaWAN(※2)およびBluetoothを活用してIoTの有効性を検証する実証実験を実施した。
同実験では、IoTデバイス、サーバ、データを収集・見える化するアプリケーションなどをトータルで提供するNECの「スターター向け実証パック」を活用することで、3週間で実証実験を開始した。実証実験の内容は以下の通り。
- GPSとLoRaWANのネットワークによる荷物コンテナ運搬車の位置把握
- Bluetooth(BLE(※3))による整備士の動線把握
荷物コンテナ運搬車は、広大な空港内の様々なエリアを移動しており、限られた台数で業務を行うために、必要なタイミングに的確な場所へ配置することが重要である。同実験では、運搬車にGPSデバイスを取り付けるとともに、LoRaゲートウェイを用いてLoRaWANのネットワークを構築した。
その結果、2セットのLoRaゲートウェイで 羽田空港屋外のほぼ全てのエリアをカバーし、運搬車の位置をリアルタイムに把握できることを確認した。これにより、機器の導入を最小限に抑えながら通信が可能なLoRaWANの有効性を実証した。
ベテラン整備士から若手へのノウハウ継承や作業効率化に向けて、整備士の作業エリアにおける動線を把握することは有効と考えられる。同実験では、整備士を想定したJALとNECの担当者がBLEデバイスを装着し、BLEネットワークを構築したツールルーム、格納庫、事務所において実験を行った。その結果、航空機、作業用足場、壁などに電波が反射して干渉しやすい環境下でも位置を検出することができ、動線把握が可能であることを確認した。
※1 有線/無線LAN・LPWA・LTE・Bluetooth・5Gなどの多種多様な通信手段。
※2 LoRA allianceで規格化が進められている低消費電力の広域ネットワークプロトコル。
※3 近距離無線通信技術Blutoothの仕様の一つ。免許不要である2.4GHz帯の電波を用い、従来のBluetooth通信と比較して低消費電力化を実現している。
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