電気事業者が高精度に日射量の把握や太陽光発電量を推定するためには、発電場所の気象観測データが必要である。しかし、日射量は気象庁の観測地点が全国約50カ所と限られているため、自社で観測機を設置できない場合は、観測地点から数十km以上離れてしまい、十分なデータ活用ができないこともある。
株式会社ウェザーニューズは、WxTechサービスにおいて、電力需給計画を支援する電力市場向けの気象データセット「WxTech for Energy」に実況解析データを追加した。
同サービスでは、気温、全天日射量、降水量、風向、風速、相対湿度、天気の全7要素についてリアルタイムに解析し1kmメッシュの実況解析データを電気事業者の運用に適した30分毎にクラウド経由でAPI提供する。日射量の解析には、衛星画像から雲の厚さ、雲粒の半径、雲水量、雲頂温度を推定する雲解析アルゴリズムを用いているため、より精度の高い解析が可能だ。
日射量や太陽光発電量を高精度に推定できることで、発電量の実績との比較が可能になる。例えば、日射量の解析実況データに比べて発電量が十分でないといったことから、機器の故障を迅速に検知し、きめ細かいメンテナンスによって発電量を高く維持することができる。
また、2020年12月に開始したWxTech for Energyの無償トライアル期間を年内まで延長することも発表した。
さらに、2022年度には市場価値に一定の補助を上乗せするFIP制度や分散型電源を束ねて供給力を提供するアグリゲーターのライセンス制度が開始するため、電気事業者は発電量予測や電力需要予測の精度向上を目指して、AIを用いた予測システムの導入を進めている。
そこで、ウェザーニューズはAIの学習用データとしてニーズが高い「過去の気象予測」を2021年6月から提供開始する。過去の気象予測と今回の実況解析データを学習させることで、企業の発電量や電力需要予測の精度向上が期待できるという。
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