IDC Japan株式会社は、国内プライベートクラウド市場予測を発表した。これによると、2021年の国内プライベートクラウド市場規模は、前年比35.8%増の1兆2,216億円になると予測している。また、2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は25.3%で推移し、2025年の市場規模は2020年比3.1倍の2兆7,815億円になるとIDCは予測している。
2020年の国内プライベートクラウド市場は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響によって、仮想デスクトップ(VDI)関連が大きく拡大した。一方、基幹系システムの移行プロジェクトには遅延が見られ、同市場の成長を抑制した。2021年は、遅延となったシステム刷新/更新や新規プロジェクトが再開することによって、再び高い成長になるとIDCは予測している。
COVID-19感染拡大の影響は企業の経営戦略およびIT投資に対する意識を変え、「クラウドファースト戦略」のさらなる浸透と、DX/データ駆動型ビジネスに対する取り組みを加速している。そのような中、迅速性や拡張性、機能性といった特徴からパブリッククラウドに対する関心がこれまで以上に高まっている。
2019年以前は、信頼性や従来型ITとの親和性から、パブリッククラウドとの比較を丁寧に行うことなく、プライベートクラウドを選択する企業が見られた。現在は、パブリッククラウドの効果的な導入/利用を検証した上で、プライベートクラウドとの比較を行う企業が増えている。
「機微情報(センシティブデータ)の取り扱い」「ネットワーク遅延」「他システムとの連携性」「仕様の柔軟性」などを評価して、プライベートクラウドを選択する企業も多くいる。また、パブリッククラウドとプライベートクラウドを同時に、導入/利用する企業は増加している。
パブリッククラウド(特にIaaS/PaaS)では、利用中のサービスに関わる支出の削減や高度活用を積極的に支援するベンダーが多く見られる。一方、プライベートクラウドは、安定運用を重要視しているものの、システム導入後の「コスト最適化」を積極的に支援しているベンダーは多くない。
しかし、パブリッククラウドで起きている「コストの最適化」は、「アーキテクチャの理解」「ガバナンスの強化」「ITスキルの向上」「信頼性の向上」「運用の最適化」などに直結しており、企業のクラウド活用度を向上させDX/データ駆動型ビジネスを促すものとなっている。すなわち、プライベートクラウドであっても、パブリッククラウドと同様に「ユーザー企業のクラウド活用度の向上」を積極的に支援することが、ベンダーには求められている。
「DX時代を迎え、ベンダーはカスタマーサクセスを重要視した、顧客のクラウド活用度の向上を積極的に支援する必要がある」と、IDC Japan ITサービスのリサーチディレクターである松本聡氏は述べている。
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