IDC Japan株式会社は、国内の、センサー、IoT機器、情報システムなどの異なるソースから収集したデータを連携させ、新たな価値を生み出すための広域データ基盤である、データ流通プラットフォームの動向に関する調査結果を発表した。
具体的には、リアルな空間(屋外、屋内)に関するデータを活用することによる価値創出のユースケースと、それらの実現に向けた国内でのデータ流通プラットフォーム構築や、様々なシステムから共通的に参照される基本データとしての地図データなどに関する取り組みが調査された。
リアル空間に関するデータの活用と、下図にあるような、それによって創出される代表的なユースケースをから、このようなデータから新たな価値を生むには、複数のデータの連携が必要となるケースが多いことが分かる。一方で、1つのデータソースが複数のユースケースで活用できるという結果も出ている。
また、データ流通プラットフォームや地図データに関する取り組みも活発化している。
例えば、政府の計画に盛り込まれている、分野を超えたデータ連携を実現する取り組みである「DATA-EX」や、国土交通省都市局の3D都市モデル構築事業「Project PLATEAU」などが、都市のデジタルツインとして注目を集めている。
民間企業や地方自治体などでも、2Dおよび3Dの地図、位置情報基盤、スマートシティ基盤(都市OS)、スマートビルディング基盤を導入する動きが増加している。
コンピューターが現実世界を理解可能にするためのデータモデルやオントロジーについての検討も進みつつある。また、データ流通プラットフォームは、単にデータを流通させるだけでなく、その上で新たなアプリケーションを構築するための開発プラットフォームとしての役割が増している。
データ流通プラットフォームの今後の展望として、政府や企業などへの同プラットフォームの導入が進むことで、データ連携のハードルが下がり、上図に示すようなユースケースを実現するための取り組みの加速が期待される。
また、今後は、CPS(Cyber Physical System)を通じて、人やモノが周囲を認識することで、相互のインタラクションや、対象物の自動制御などが可能になると考えられる。
一方で、プライバシーの保護などの課題も挙げられている。公共空間のデータ化に当たっては、カメラに映る人が誰かを認識し、個人のパーソナルデータを活用できれば、より付加価値の高いサービスを提供することができるが、プライバシーは十分に保護される必要がある。
IDCは、「現状では、このようなデータの扱い方の詳細に関して、社会的コンセンサスが醸成されていないため、ステークホルダーが多い場合、意見がまとまりにくい、といったことに直面するケースも多い。」としている。
IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの小野陽子氏は、「今後、データ流通プラットフォームで多くのデータが扱われるようになると、ITの専門家でない人でも、プラットフォーム上で新しいデータの追加や処理方法の変更などができる必要がある。プラットフォームを提供する企業は、APIのオープン化、ローコード・ノーコード、Web規格の採用などによって技術的なハードルを下げ、市場の裾野を広げるべきである」と述べている。
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