IDC Japan株式会社は、国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表した。これによると2021年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、前年比28.5%増の1兆5,879億円となった。また、2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は18.8%で推移し、2026年の市場規模は2021年比約2.4倍の3兆7,586億円になるとIDCは予測している。
国内市場では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響によって、パブリッククラウドサービスを利用する企業が増加している。また、従来型ITからクラウドへの移行(クラウドマイグレーション)に関わるベストプラクティスが、ベンダー(特に、サービスベンダー)およびユーザー企業に蓄積されており、クラウドマイグレーションに関わるプロジェクト期間の短縮傾向が強まっている。
さらには、サービスベンダーにおけるクラウドマイグレーションおよびマネージドクラウドサービスに携わる要員数が急増しており、対応可能なプロジェクト数が増加している。すでに、ユーザー企業におけるクラウドファースト戦略は広く浸透しており、クラウドマイグレーションの対象となるシステム領域/ワークロードが、Webシステムや情報系システムから基幹系システムへと、多様化が顕著に見られた。
これらのことから、2021年の国内パブリッククラウドサービス市場は順調に成長した。また、2022年以降も、ユーザー企業のクラウドマイグレーションは加速傾向にあり、国内パブリッククラウドサービス市場の成長を促進している。
多くの企業が、クラウドマイグレーションと共に、DX/データ駆動型ビジネスに高い関心を寄せていることは言うまでもないとIDCは考えている。2021年は、多くの企業が「組織」「企業文化」「人材」の壁に阻まれ、DX/データ駆動型ビジネスの構築には至っていない状況となった。
しかし、先駆的な企業の事例が紹介されるようになっており、同事例を参考にしながら、データ活用の実現やビジネスレジリエンシーを強化するために、クラウドを活用したIT基盤の強化が見られた。これらのことは、クラウドマイグレーションやクラウドを活用したIT/業務の効率化から、DX/データ駆動型ビジネスへと歩む「クラウドジャーニー」を進める重要な取り組みとなっているとIDCは分析した。
近年、DX/データ駆動型ビジネスを実現するために、システム/アプリケーション開発の内製化がユーザー企業の重要な関心事となっている。また、マルチクラウド/ハイブリッドクラウドの浸透と共に、クラウドネイティブが本格化している。これらのことは、ベンダーのポジショニングやエコシステムを大きく変えるものとなる。
「ベンダーは再編が進むエコシステムの中で、ユーザー企業に対する内製化支援の在り方を整備し、自らの競争優位性を再定義して事業を強化する必要がある」とIDC Japan株式会社ITサービスのリサーチディレクターである松本聡氏は述べている。
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