IDC Japan株式会社は、国内のローコード/ノーコードプラットフォームの動向に関する調査結果を発表した。
IDCでは、ローコード/ノーコードプラットフォームを、アプリケーション開発におけるコーディングを最小限に抑え(あるいはコーディングせずに)、ドラッグ&ドロップによるビジュアルモデリングによってデータ、ロジック、フロー、UIなどを定義しながらアプリケーションを開発し、運用ができる環境を提供するソフトウェア製品またはクラウドサービスと定義している。
ローコード/ノーコードプラットフォームを提供している主なベンダーには(以下、五十音順)、OutSystems(アウトシステムズ)、アマゾン ウェブ サービス、NTTデータイントラマート、キヤノンITソリューションズ、Claris International(クラリス インターナショナル)、グーグル、サイボウズ、ServiceNow(サービスナウ)、Salesforce(セールスフォース)、マイクロソフトなどがあげられる。
国内の企業や組織におけるローコード/ノーコードプラットフォームの導入は急速に拡大している。2020年8月に実施した調査(回答社数435社)では導入率が8.5%であったのに対し、2021年9月に実施した調査(回答社数485社)では37.7%と大幅に上昇した。多くのベンダーがそれぞれ特徴を持ったローコード/ノーコードプラットフォーム製品を提供していることで、ユーザーが戦略や目的に応じて柔軟に選択できるようになっていることが導入を後押ししている。
ローコード/ノーコードプラットフォームを使って開発されている主なアプリケーションとしては、スケジュールやワークフローなどの業務プロセス系アプリケーション、予算/売上管理や社員管理などを行うバックオフィス系アプリケーション、商品管理や販売管理などを行う営業系アプリケーションがある。
企業や組織がローコード/ノーコードプラットフォームを導入する際、ベンダーやSIerからの導入支援が必要となる場合も多く見られるという。これに対し、BlueMeme(ブルーミーム)やNEC、NTTデータビジネスシステムズをはじめとして、ローコード/ノーコードプラットフォームの導入支援に注力するベンダーやSIerが増えている。
こうしたベンダー/SIerは、ローコード/ノーコードプラットフォームの導入コンサルティングや導入構築、運用保守に関するサービスのみならず、ローコード/ノーコード開発手法に関するコーチングや開発体制支援、教育/トレーニングに関するサービスも提供している。今後、ローコード/ノーコード関連サービスを提供するベンダー/SIerはさらに拡大し、国内のローコード/ノーコード開発を促進していくとIDCではみている。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのグループマネージャーである入谷光浩氏は「2023年には新規開発されるアプリケーションの60%がローコード/ノーコードプラットフォームで開発されるようになるとIDCでは予測している。ローコード/ノーコード開発がアプリケーション開発における標準のひとつになるまでにはそう時間はかからないだろう」と述べた。
また「その一方で、手軽に開発できてしまう分、野良アプリの乱立や情報漏洩などのリスクも指摘され始めている。企業や組織がローコード/ノーコード開発を安全に進めていくためには、ローコード/ノーコードCoE(Center of Excellence)を設置し、開発の標準化やフレームワークの作成、アプリケーションの品質管理や開発権限の管理などのガバナンスを策定していくことが重要となる」と発言した。
続けて「さらに、ローコード/ノーコードCoEが教育やトレーニング、啓蒙活動など社内での普及に向けた活動を行うことで、開発の民主化を実現していくことができる。ベンダー/SIerは、顧客に対してローコード/ノーコードCoEの設置を支援していくことが重要となる」と述べた。
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