三品産業と言われる化粧品、医薬品、食品業界や化学業界では、製造工程・品質検査工程や研究開発工程において粉体を定常的に秤量する業務が多数存在しており、労働人口減少を背景とした人手不足が進む昨今、同業務においてもAIやロボットを活用した自動化による生産性の向上が課題になっている。
しかし、従来の専用機を用いる方法では、特定の粉体における秤量工程を自動化することはできても、特性の異なる複数種類の粉体や、瓶やバケツといった多様な容器を用いた秤量工程においては自動化することが難しいといった課題があった。
また、同工程の自動化実現のため、AIロボットアームを用いた秤量を行う場合においても、一本のアームではボトルの把持や薬さじによる秤量をシングルタスクで実行する必要があるため、ボトル搬送、秤量、秤量後のボトル搬送までの作業において人手の1.5倍程度の時間を要することが課題となっていた。
株式会社エクサウィザーズと、ヒト型ロボット事業を展開するカワダロボティクス株式会社は、ヒト型双腕ロボット「NEXTAGE」を用いて製造業における粉体秤量工程の高速自動化を実現する「exaBase ロボティクス 粉体秤量 for NEXTAGE」を共同開発し、2023年1月の提供開始予定と発表した。
同サービスは、多様な容器を用いた特性の異なる複数種類の粉体の秤量自動化を実現するエクサウィザーズのマルチモーダルなロボットAIソリューション「exaBase ロボティクス」と、双腕を用いることでボトルの把持と秤量を同時に行うことを可能にするカワダロボティクスのヒト型双腕ロボット「NEXTAGE」を組み合わせて開発された。
これにより、ボトル搬送、秤量、秤量後のボトル搬送までの工程全体にかかる所要時間を従来のAIロボットアームを用いた方法と比較して約30%短縮、よりスピーディーかつ高精度な秤量を自動で行うことが可能になった。
また、AIが粉体ごとの特性を知覚し自動で制御を変動させることで、対象となる粉体が多岐にわたる場合でも汎用性を持った秤量が可能だ。スクリューバイアルやバケツといった多様な容器を用いた秤量工程の自動化も実現した。
さらに、粉体を掬い取る際、双腕による「すり切り」動作を適用することにより、人と同様の高精度での秤量が可能となったほか、粉体の種類に応じて自動でスパーテルを切り替えることにより、コンタミネーション(異物の混入)を防止する。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。