IDC Japan株式会社は、2023年以降の国内における情報通信技術(ICT)市場に関する10大予測を発表した。これは、2022年10月に発行した「全世界のICT市場に関する10大予測」の各項目を、日本市場の状況に合わせて調整したものである。
経済、政治、社会的な状況は激しく変化し続けており、企業の事業計画、IT投資計画は大きな影響を受けている。そういった中でもデジタルテクノロジーを活用してレジリエンシー(回復力)を発揮する企業は、混乱する状況を打破して勝者になっていく。
こういった状況認識の下、IDCでは2022年10月に、全世界のICT市場に関する10大予測を、「IDC FutureScape: Worldwide IT Industry 2023 Predictions」で発表した。そこで取り上げられた10項目を以下に示した。
- as-a-Serviceプロセスおよびスマートプロダクトの台頭
- as-a-Serviceビジネスモデルによるテックバイワイヤーの成長促進
- IT投資効果の最大化を阻む重要スキルの不足
- デジタル主権によるスタッフ、予算、業務プロセスへの影響
- aaS支出の急増に伴う評価の厳格化
- サービスプロバイダーの専門知識の提供能力が向上
- テクノロジーサプライチェーンは依然として重要な懸念事項
- 簡単には進まないコントロールプレーンベースシステムへの移行
- 自動化への信頼確立が成功の重要条件
- マシンビジョンによって実現される、物理的なさまざまな場所におけるエクスペリエンスの劇的な改善
全般的に、今後の世界のICT市場は「as a Service」と「テックバイワイヤー(Tech by Wire:self-contained system、Software-Definedの機能、AIによるクラウドベースの制御システム、データ駆動型の意思決定)」が重要なトレンドになるとIDCではみている。
IDCでは、上記10項目を精査し、国内市場におけるインパクトを評価している。その結果、上記10項目中6項目については、国内市場においては異なるスピードで起きるという考えに至っている。
たとえば、第1項目については、as a Serviceの社内プロセスや、スマートプロダクトに関連するIT予算の比率が、国内企業では世界の企業に比べて低くなると予測している。しかし、スピードの違いはあるにせよ、全般的には国内企業も世界の企業と同様の道筋をたどるものとみられる。
今回の予測期間は2023年~2028年だが、その期間においても現在想定できないような変化が起きる可能性があるとIDCはみている。
IDC Japan株式会社 グループバイスプレジデントおよびチーフリサーチアナリストである寄藤幸治氏は「環境変化に柔軟に対応できるas-a-Service型のIT支出、データによる意思決定という組織文化の徹底など、『デジタルレジリエンシー』の実現のために企業が行うべきことは多い。部門を超えた経営幹部の『ドリームチーム』がリーダーシップを発揮し、混乱する状況を打破する姿勢を組織として持つべきである」と述べている。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。